2013年07月18日

最近、積んでる本たち

『国際規格に準拠した防爆電機機器の安全設計とエンジニアリング』
(IDEC株式会社防爆安全技術研究会 編)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4526070300

  IEC60079準拠の爆発性雰囲気での工業用電気機器の取扱について書かれた本です。
  規格とその背景の解説、主要な防爆構造の解説、危険区域の解説、
  設置配線施工の解説、とほとんどの内容を網羅しています。
  まずNECAの防爆安全ガイドブック(http://www.neca.or.jp/boubaku/guide/)に
  目を通してから読むと入りやすいかもしれません。
  FA屋さんはこれから防爆への理解が必要になることが多いかと思いますので。


『圧縮性流れの理論』
(E.ラサクリシュナン、鈴木宏二郎、久保田弘敏 著)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4621079697

  圧縮性流体の理論的な内容に絞った書籍で、
  森北出版などの流体力学の教科書を補う形で読むのに良いと思います。
  数式も現役の高専生であればそれほど困難なく読み進められる程度になっており、
  現場で求められる気体設備の概算などに応用が効く1冊となっていると思います。


『先進複合材料工学』
(邊吾一、石川隆司 共編著)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4563067504

  材料力学、破壊力学、と学習した後の発展によい一冊と思います。
  航空機などの実際にギリギリの構造強度が求められる世界では
  どういったことを気にしているのか、ということがまんべんなく書かれています。
  数式記述はちょっとハードルが高そうに思えますが、基本的な行列操作ができれば
  なんとなく読んでいけると思います。


『ディジタル画像処理の基礎と応用』
(酒井幸市 著)
 http://www.amazon.co.jp/dp/4789830950

  画像処理をテーマにしていますが、
  ディジタル信号処理の基本全般を知ることができます。
  離散化すると何ができるのか、がよくわかる一冊だと思います。
  あと付録のVC#チュートリアルもわかりやすいお得な一冊です。

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2011年09月20日

下町ロケット

タイトル:下町ロケット
著者:池井戸 潤
出版社:小学館
ISBNコード:ISBN978-4-09-386292-9
価格:1700yen

以前からTLで業界の方々に酷評されていたので、気になっていた『下町ロケット』。
買ってきて、2時間半くらいで読み終えました。

なるほど。酷評はごもっともです。

まず国産ロケットの某主契約企業にはそんなにひどい人いないです。
みんな腰が低いよ。腰が低すぎてこっちが泣けてくるぐらいだよ。
技術の話になると頑固だけどさ。

まあ、それは置いといて、ですね。
細かいところもツッコミどころ満載で、パッと思いつくだけでも、

・外注の審査は品証の仕事で、与信とかのチェックは購買の仕事じゃん
・XSJ4000もJISQ9100も出てこないとかどういうことなの
・フィルタにコンタミとかありえねー
・自前主義とかないないありえない
・宇宙産業では100人以下の零細組織とかあたりまえだよね
・部品一つに社長の判断とかおいおい
・燃焼試験の成功とかすぐに判定できないんですけど

などなど、いろいろあります。
たぶん、そういうあら探しをし始めたら、いくらでも書けそう。

とはいうものの、僕自身は、それほどこの小説を酷評する気にはなれません。

二代目社長という立場を描くという意味ではうまく書けていますし、
大企業と中小企業のやりとりをステレオタイプ気味に描くという点でも、
社会派小説としてはなかなかいいできなんじゃないでしょうか。

綿密な取材に基づいたリアルな設定と細部に依拠しなきゃいけない、
というわけでもないですからね。

ただ「技術力」という単語をあれだけ出してくるからには、
バルブやエンジンに関する細部の描写がほとんどないってのは、
エンジニアとして寂しいし、小説の肉付けとしては弱い気もします。
零細製造業の細部の描写も、もうちょっとがんばってほしいですね。

このあたりも酷評される要素なのかもしれません。

それに、タイトルに「ロケット」とついていますが、これはロケットの話じゃなくても、
題材は他のものでもよかったんじゃないかと思えてきます。
ただオンリーワンな技術の象徴としてロケットエンジンを使ってるような気がする。

ロケットが好きだったり、実際にロケットに関わられた方々からしたら、
こういう扱いはちょっとどうなんだろう、という気持ちになると思います。

それに、僕からすると、これはロケットを題材にしないほうが、
もっと面白く、もっとリアルになったんじゃないかという気がするんですよね。
まあ、他に適切な題材を見つけるのが難しいことはわかりますが。

ああ。あと、大企業の中の人は、ふつう、たぶん、もっと、やる気ないです。
少なくとも買収とかそんな面倒なことを考えるのは役員クラスでしょう。

うーん。やばいなー。ツッコミをいれたくて仕方ない。
ロケットエンジンにコードネームとか、もにょる……あれは型番だからいいのに!
あと大江が出てこないのなんで!角田も!

ふう。

エンターテイメントしてるとは思いますよ。
小説特有のおもしろさはありますし、ドラマ化するみたいですし。

ただ、これでロケットに興味を持ってもらえるかというと、ちょっと疑問。

あと、キャラクターや立場がちょっとステレオタイプすぎないか、という懸念。

同じエンターテイメントなら、川端裕人さんの『夏のロケット』のほうが、
ロケットの布教には向いているような気がするなあ。。。

うん。エンターテイメントという意味では良い小説だと思います。

「ロケット」の文字に過剰な期待をしちゃダメだぞ、みんな!
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2011年08月14日

郵便的不安たちβ 東浩紀アーカイブス1

タイトル:郵便的不安たちβ 東浩紀アーカイブス1
著者:東浩紀
出版社:河出文庫
ISBNコード:ISBN978-4-309-41076-0
価格:950yen

さて。Twitter界隈ではとても人気のない「あずまん」こと
東浩紀さんですが『思想地図vol1』『動物化するポストモダン』を読み、
ニコニコ動画でロージナ茶会での白田総統との対談を見て、
専門の思想や批評に関しては僕はある程度、信をおいていいんじゃないかと思っています。

彼の言論は2000年代(ゼロ年代)について言及したものがよくとりあげられますが、
そもそも彼は1990年代に突如として現れた思想界の大型新人だったりするわけです。

よく「アニメがらみの話をする思想家」という捉えられ方をしていますが、
これは彼自身がアニメ好きなオタクであるというところから生まれた
サブカルチャー論評で、どちらかというと副業なのではないかと思っていました。

つまり、彼のもともとの仕事というのは1990年代にあると考えたほうがいい、と。

で、1990年代の仕事をきちんと読んでおいたほうがいいかな、とは思っていたんですが、
『存在論的、郵便的』を本屋でちらっとめくったけど、難しいし、分厚くて、ちょっと読めそうにない。

と思っていたところ、Amazonさんが『郵便的不安たちβ』をおすすめしてくれたりしました。

まず読むべきはP50〜P109に収録された表題作の『郵便的不安たち』です。
1998年12月14日に青山ブックセンターでおこなわれた、
『存在論的、郵便的』の発刊記念講演のスクリプトです。

この中で「郵便的不安」なるものに言及している面白い文があるので、
少し引用しましょう。

まずは「郵便的不安」について説明している箇所。

しかし九〇年代も終わりかけているいま、若者文化の全体を見渡せるという幻想は、
もはや広告代理店的にも通用していないと思います。
あちこちで面白いことをやっているひとはいて、それぞれカルト的なファンを作っているのかもしれませんが、
みんなバラバラに勝手にやっているから、その情報を集めるのはきわめて難しい。
こういう状況だと逆に人々は、自分のところに届いた情報―デリダ的に言えば「手紙」―がどこから
発せられたのか、配達の途中でどのように歪められたのか、また自分の投函した情報がどこ届くのか、
そのようなことに非常に意識的たらざるをえない。
つまり九〇年代の文化消費者は、いつも郵便的不安に取り憑かれていると思うんです。

そして、その「郵便的不安」に対する反応の典型例が挙げられています。
ひとつは「フェイクとしての全体」

フェイクとしての全体理論を求め、郵便的不安を一時的に忘れることですね。
(中略)
世界の「全体」が失われた九〇年代においては、フェイクでないふりをした世界観より、
はじめからフェイクだと宣言する世界観のほうが、ポストモダンの人々にははるかに真実に近く映る。

そして、もうひとつは「全体についての思考を放棄する」

郵便的不安から逃れる別の選択肢としては、「全体」についての思考を放棄し、
いま自分の手元にあるものだけで満足するという方向もある。
(中略)
手紙を受け取らなければ、郵便的不安に駆られることもないわけです。

さらに、この2つの反応に対して、もうひとつのあり方としての「郵便的享楽」が語られています。

そのうえでぼくが『存在論的、郵便的』を書きつつ考えていたのは、
その郵便的不安から逃げるのではなく、それを反転させ、
また別の悦び―いわば「郵便的享楽」に変えるようなテクストを書けないか、ということでした。
大きな文化的ネットワークに接続し、届かない手紙たちに怯えながらも、
そこから情報を盗み転送することで新しいコミュニケーションの可能性を拓くテクスト。。。
(中略)
そういうテクストの可能性がないかぎり、人々はどんどん趣味の共同体に自閉していってしまう。

この一連の文を読んだ時に、僕の頭に思い浮かんだのはTwitterでした。
SNSではない、メディアとしてのTwitter。

そして、東浩紀氏が「SNSはダメだけどTwitterはいいんですよ」と言ったことの原点は、
このあたりにあるのかな、と思いました。あの発言はこの文脈でできていると。

実はもう一箇所、Twitterをイメージさせる文章が出てきたりします。

インターネット上の本屋では、本棚を眺めることができない。
だからAmazon.comは推薦リストを出してくるわけですが、
実際には、そこで出てくる本はごく限られた傾向のものでしかない。
しかし、みなさんもそうだと思うけれども、
実際の本屋でぶらつくことの機能はまったく違うところにありますね。
本屋でぶらぶらするときには、たいてい、いままで買ったことがない、
見たことがない本に出会うことが喜びなわけで、Amazon.comの推薦機能とは反対です。
同じことは、ネット全体についても言えると思います。
ネット上を検索することは、実は街を無目的にぶらつくのとはまったく異なる経験です。
検索エンジンは目的地にいきなり連れていってしまうし、
他方、リンクをたどっていろいろなホームページを覗いたとしても、
意外とページが相互リンクしていて、狭い共同体のなかをうろうろしているだけだったりする。

この島宇宙観とそれに対応する必要があるという問題は、
みなさんがいま経験しているとおり、Twitterの出現で「ひとまず」解消されます。2009年頃に。

で、みなさん。よく考えてください。これ1998年末の講演なわけです。
その時点で、インターネットに足らないものをここまで明確に言葉にできる人間がいる。
それだけでも驚きですし、その人と(Twitterを使って)やりとりできる。

これが、僕が東浩紀氏のまとまった発言、それもノイズのないところでの発言に
注目している理由だったりします。

『郵便的不安たち』についてはこのあたりでしょうか。

デビュー作の『ソルジェニーツィン試論』は、
そもそも『収容所群島』を読んだことのない僕にはよくわからないです。
高専の図書館でマルセル・プルーストの横に置いてあったのは覚えていますがw

他にも難しい論考が前半には多いです。文学批評ですから当然ですが。
そして、後半がサブカルチャー論考ですね。ここはライトで読みやすいと思います。

それらから、2点ほど、面白い部分を引用しておきましょう。

まずは『オタクから遠く離れて』より。

ぼくが好きになるものは、それが好きだと他人に威張れるようなものじゃないんです。
一貫して。人間でもジャンルでも。
つまり、僕はそれが好きだ、けれども、それが好きではないひとたちの気持ちもわかる。
じゃあ、このギャップをどうしようか、っていうことばっかりなんですよ。
(中略)
つまり、これを読んでいるひとは、「ポストモダン・オタクアニメ」それ自身の魅力を理解できなくても、
そういうものを好むひとがいるという現象は理解することはできるはずなんです。
人間のコミュニケーションは結局それしかない。
けれども、オタクの人たちっていうのは、ぼくはこれが好きだ、好きになってよ。あ、好きじゃないんだ、
じゃあ違うね、サヨナラ、みたいな感じでしょう。それでは話が通じない。

こちらは1997年の『Quick Japan』に初出の文章ですね。
そしてもうひとつ。
『存在論的、広告的』より。

やっぱりぼくは、みんなが正しい答えを目指したほうがいいと思う。
その過程において誰でも間違うわけで、その間違いが創造性じゃないですか。
目標のほうにあらかじめその間違いを許容できるようなマージンを取っておくことで、
はじめて生産的になるんだと思うんですけどね。
なにかについて答えを出そうと努力する。なかなか最初に思ったとおりにはいかない。
だから次の手を打つ、またうまくいかない、さらに次の手をうつ……ということをやっているあいだに、
自分が思ってもみなかった答えが現れてくる。それがモノを作るっていうことでしょう。
(中略)
なんでも自由にやっていいと言われたら、かつて自分のやったことの繰り返ししか出てこないに決まっている。
状況に応じていちおうは正しい答えを出そうとするからこそ、
試行錯誤があり、ノイズが侵入する入り口が開けるんです。

ここまで考えられる人間の言葉尻を捉えて批判するのって、
わりと日本の知的生産現場における生産妨害なんじゃないかな、と思うのです。

そして、あそこまで批判されて貶されても、自分の理想がTwitterにあるとして、
Twitterをやりつづけている東浩紀氏に、ある種の知的強度を見た気がします。

もっと、みんな、本を読んでくれるといいと思うんだけどな。
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2011年05月04日

青い星まで飛んでいけ

タイトル:青い星まで飛んでいけ
著者:小川一水
出版社:ハヤカワ文庫
ISBNコード:ISBN978-4-15-031023-3
価格:740yen

先日、ふらっと本屋さんに寄った際に、
帯に

  「はやぶさ」も目指した
  未知との遭遇。
  宇宙大航海時代が見える。

  「はやぶさ」プロジェクトマネージャー川口淳一郎氏

とあって、手にとって、
ぱらりとカバーをめくったら、
著者紹介のところに

  『まずは一報ポプラパレスより』で長編デビュー(河出智紀名義)。

とありまして。

続編はわりとgdgdになってた記憶がありますが、
ポプラパレス一巻は出てすぐに買って読んで、
うわ、すげえ、これ面白い、となった本です。
(あの頃は、ジャンプノベルズとか、ライトノベルをかなり読み込んでたな)

その著者が書いていて、帯に川口淳一郎氏とあるわけです。
こりゃ読んでおこうかな、最近、SFも読んでないしな、ということで購入。

内容は6編の短編で構成されていて、そのうち宇宙絡みが4編、日常ものが2編。

ポプラパレスの頃以上に、工学技術的ディティールが細かくなっているみたいで、
この人、実は高専卒なんじゃないか、少なくとも工学部でてるよな、と思いながら読みました。

あと、あいかわらず、こう、登場人物にリアリティがないのに身近に感じられるってのが、
この人の書くもののすごいところなのかなあ、と。

まあ、最後の1編を<登場人物>というかどうかは置いておくとして(笑)

言うまでもないけど、スケールがでかい設定なのに、細部まで破綻させないのが、
すごいですよね。ポプラパレスのときも思ったけど。

「天冥の標」とかってシリーズを展開中だそうなので、そちらもチェックしないと。

あと、Twitterで著者をフォローしておこう(笑)
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2010年12月31日

地図で読む世界情勢

タイトル:地図で読む世界情勢 第1部/第2部
著者:ジャン・クリストフ・ヴィクトル
出版社:河出書房新社
ISBNコード:ISBN978-4-309-22506-7/ISBN-978-4-309-22507-4
価格:1500yen

フランスの人の著作です。

原題は「 LE DESSOUS DES CARTES 2 -Atlas D'un mode qui change- 」

2chの地政学スレッドで紹介されていたので、
本屋に寄ったときについつい買っちゃいました。

1部/2部の2巻構成です。

内容は社会科の資料を想像してもらうとわかりやすいかもしれません。

P・R・ピネの「海洋学」を彷彿とさせる紙面で、
豊富な図とデータを使って丁寧な説明が展開されています。

2巻全体を13章のテーマでわけて構成されているんですが、
切り口がフランスの人らしいというか、すごく新鮮なんですよね。

特に中央アジアの取り扱いの細かさには脱帽。
カスピ海周辺のミッドランドに石油資源が集中しているのは知っていましたが、
NATOと上海協力機構の対比や、パイプラインと米軍基地の配置は勉強になります。

他にもモナコやリヒテンシュタインなどの小国の解説に1章をさいたり、
ハンチントンの「文明の衝突」に対する批判を地図ベースで展開したり、
と、多方面から世界情勢を切り取っています。

逆にいえば、あまりに多方面から見ているのでとっちらかった印象を受けたりもしますが、
まあ、それは「現実がとっちらかっている」のでしかたないんでしょうね。

掲載データは時系列の対比もわりとそろっているので、将来予測の資料としても使えます。
文章も平易なので、高専の参考書なんかにはうってつけだと思いました。
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2010年09月23日

図解 船の科学

タイトル:図解 船の科学
著者:池田良穂
出版社:講談社ブルーバックス
ISBNコード:ISBN978-4-06-257579-9
価格:880yen

双胴型ウォータージェット推進の最新カーフェリーをネタに、
船の仕組みを勉強していく感じです。

洋上での船の運動について特にしっかりと書かれていて、
ひととおり理解できるようになっています。

機関や構造についてはわりとさらりと流しているように感じます。
まあ、キリがないと言えばキリがないですからね。
舶用機関や船体構造についてはそれだけで本が数冊出てるんで。

とはいうものの、これ以上細かく書かれてもお腹いっぱいです。

ここから少しずつ、いろんな本をあたって船について勉強いくには
とても良い起点となっていると思います。

しかし、ブルーバックスは子供向けかと思っていましたが、
全くそんなことはないですね。

むしろ「大人のための入門書シリーズ」です。
他にもなにかと面白そうなものが多いので、
これから重点的にチェックしていこうと思いました。

posted by kirikuzudo at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) |

2010年09月21日

実践!多読術

タイトル:実践!多読術
著者:成毛眞
出版社:角川書店
ISBNコード:ISBN978-4-04-710239-2
価格:724yen

多読術というよりは「成毛眞の本の読み方」です。
薄い本なので1時間ちょっとあれば読めます。
1テーマで3〜4ページという区切りもテンポがいいですね。

1章は著者の本に対するスタンス。
2〜4章はビジネスマンと本のジャンルについての意見。
5章は著者のおすすめ本リストです。

分量は1〜4章で3/5、5章で2/5です。

そう。この本で読むべきは5章。
この幅の広さとピックアップされた本の質。
私が読んだ本は1冊、ジャンル的には1/3ほどでした。

私も20代後半にしては割と幅広く読んでるつもりでいましたが、
さすがにこの方は違いますね。
まあ、松岡正剛ほどではないにしても。

それにしても、5章でピックアップされている本と
その紹介の仕方は、本好きが買わずにいられなくなるほど。
これが日本で一番ソフトウェアを売った男の実力か、と。
(著者は元マイクロソフト日本法人の社長だとか)

あとは1章の後半で触れていた電子書籍に関する考察も、
本好きとしては納得の意見。大人の見解です。
賛否両派ともこの部分は読んでおくと頭が冷えていいと思います。
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2010年09月13日

船の疑問100

タイトル:みんなが知りたい 船の疑問100
著者:池田良穂
出版社:ソフトバンク クリエィティブ
ISBNコード:ISBN978-4-10-603663-7
価格:952yen

成毛眞さんがブログで紹介していて、
(http://d.hatena.ne.jp/founder/20100820/1282269323)
先日、本屋でパラパラとめくってみたら、
割とよい出来だったので、購入。

入門用としては最適ですな。
船舶工学は触れてもいないので、船にかんしては素人ですが、
知識ゼロでもわかりやすい。

がぜん、船について興味がわいてきました。

何かと派手な航空機や宇宙に関心が向きがちなこの頃ですが、
R・バックミンスター・フラーが書いているように、
地球の表面積の7割を占める海洋の利用こそが、
人類の生存に大きな役割を果たすのは間違いありません。

腐食のメカニズムとか、海上の運動学・剛体の力学的なもの、
もうちょっとマニアックな内容が欲しかったですが、
まあ、金額とページ数を考えれば十分すぎる内容です。

腐食のメカニズムと対策については、
「海水機器の腐食 損傷とその対策」
(http://www.amazon.co.jp/dp/4903904075)
でも買おうかと思います。

関西造船協会編集委員会の出している、この本も気になりますね。
「船―引合から解船まで」
(http://www.amazon.co.jp/dp/4303528005)
専門書の割に3000円弱と、意外と安いです。

「造船技術と生産システム」
(http://www.amazon.co.jp/dp/4425713915)
こちらは5000円弱とちょっと高いですが、
製造技術関連で面白そう。

でも、造船に関する本は少ないんですよね。
航空機設計製造も少ないし、衛星設計関係も少ないけど。
生産量も多寡がしれているし、職人技が多いですからね。

知識を明文化して、広汎に行き渡らせる必要がないのかも。
それじゃあ、いつまで経っても、なんですけどね。
知識の外部化って、人類史規模で見ると、効果が大きいと思います。

だから学会とか論文とか学者が必要なんだけどね。

しかし、国土交通省がモーダルシフトをやってるなんて知らなかった。
高速道路無償化もその流れなのかな?
道路は混むから、モーダルシフトしなよ、っていう。深読みしすぎ?

「グリーン物流パートナーシップ」
(http://www.greenpartnership.jp/)
昔の勤め先も参加していたりします。

まあ、それは別としても、他の国と比べて海運が利用しやすいので、
国家全体の活動スピードを緩めて、うまいこと国家全体を同期化をして、
物流主体を海運にシフトしてしまうのも面白いかもしれないですね。

予測がつかない物流が一番、困るわけで、いつ、何が、どこに届くのか、
そういった情報がきちんと流通すれば、予測にあわせて処理できます。

何が何でも早く届けろ、じゃなくて、予測にあわせて、処理を入れ替える、
現代OSのスケジューラみたいな。

日本の造船技術はかなりのものがありますからね。
マルタ島が「地中海の不沈空母」なら、
日本だって「東太平洋の不沈空母」ですし。

もっと、その地政学的特徴を活かさなきゃ、ですね。
「海運国家・日本」ってな感じで。(笑)
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2010年09月08日

黒人はなぜ足が速いのか

タイトル:黒人はなぜ足が速いのか
著者:若原正巳
出版社:新潮選書
ISBNコード:ISBN978-4-10-603663-7
価格:1000yen

出だしはスポーツ選手の記録と出身地が列挙されます。
で、どうもアフリカとカリブ海の記録が際立っていると。

そこから話がはじまります。

この2つの地域に特定の遺伝子が発現しやすくなる環境が
長い間、整っていたためではないか、という仮説が展開され、
具体的に遺伝子が機能を発言する仕組みが詳説されます。

最後に知的能力に関して遺伝子の影響による差はあるのか、
という話になるのですが、
この点について著者は否定する方向で論を展開します。

このあたりになると、専門外なのか、
それまでのなめらかな議論が荒れてくるのが残念です。

半端になるのなら、最後の7章はなくてもよかったように思います。

とはいえ、6章までの展開はとても丁寧でわかりやすく、
遺伝子の機能が発現する仕組みが一発で理解できます。

大学の講義でも使えそうな1冊ですね。
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2010年09月07日

街場のメディア論

タイトル:街場のメディア論
著者:内田樹
出版社:光文社新書
ISBNコード:ISBN978-4-334-03577-8
価格:740yen

僕はほんとウチダ先生の書く文章が好きなんですね。
今日も「もやしもん」の9巻を買いに、スタバの帰りに駅の本屋に寄ったら、
「街場のメディア論」が平積みになってたので、買っちゃいました。

(「もやしもん」の9巻は置いてなかった)

で、今回はメディア論なんですが、
これだけウチダ先生の本を読んでいると、
違和感なくすいすいと読める。

第1講はキャリア教育について。

なるほど、という感じです。
「他人のため」に何かをしているうちに発現する。
それが才能の本質ですよね。

だから、他人が才能の発揮を求めてくるポジションというのは、
才能を伸ばすためには必須だったりするんだけれど、
その環境自体が職場からも失われていってるような気がします。

ってかキャリア教育って変なコトバですよね。
キャリアって自分で積んでくもんじゃなかったっけ?

第2講から第5講まではマスメディア自身の定義的な本質。
あとそこから生じている現象について。

まあ、ブログでウチダ先生がよく書かれていることなので、
リピートする必要はないんですが、
「自分がどうしてそういう考え方や基準を設置しているか」
についての分析が僕らを含め、発言主体に不足してるんじゃないのか、と。
とても構造主義です。あらゆる判断・思考には偏見が含まれる。



第6講から第7講は出版と読書について。

読書人だけあって、本読みのことがよくわかってらっしゃる。
さすがに月10万円は使いませんけどね。

電子書籍とか電子教科書で大騒ぎしているのに何か違和感を感じつつ、
「俺は旧世代だから紙の本でいいや」
と横目で見ていましたけど、読んで納得。

本棚と書籍は自分が求めている知識の物理的な表現。
そして、構造主義の時間性。先行的なまだ見ぬ価値の贈与と返礼。

どっちかというと、コレクションに近いんだよね。わかります。
電子書籍は便利だけど、コレクションしてる感覚はないもんなあ。
とうぜん教科書もコレクションの一部だし、違和感はそれか。

第2講でもでてきたけど、危機耐性も。
情報セキュリティの3要素を考えれば、確かにそうですね。
クラウドやデータ主義ってかなり高度なインフラが前提だし。
ま、印刷物もすぐ燃やせるけどね。華氏451度。

さらに付け加えると、身体性、かな。

・武道家としての身体性に関する経験と省察
・フランス現代思想の俗世間に対する丁寧な適用

が無理なく平衡しているところがウチダ先生の独自性だと思うので、
身体性や生活感覚についてウチダ先生が書いている部分は、
特に注意して読んだ方がいいかと。

先日のブログにも書かれていますが、

「スキャン」というのはつねづね申し上げているように、
「自分を含む風景を上空から俯瞰する想像的視座」に立つ能力である。


というのは、わりと多くの人が経験してるんじゃないかと思いますが、
なかなかこういうことをわかってくれる人が周りにおらず、
この話を「日本辺境論」かなにかではじめて読んだときにはおもわず膝を打ち、
以来「ウチダ先生の身体性に関する言及は信用するに足る」と思っているわけです。
(なんで上から目線なんや、俺)

あとレヴィ=ストロースの贈与経済の話は「寝ながらわかる構造主義」より、
こちらのほうがわかりやすく書かれている気はしました。
例証がこなれてきた感じです。

最後の第8講は全体のまとめと今後の展望について。
うーん。最後はSauve qui peutですか。

ちょい突き放された感じだけど、
ま、確かに文脈としては納得できるコトバですね。
あらゆる戦線で「前線は崩壊してる」っていう文脈で。

※書店の人は
 「構造主義と身体性を考慮して読み解く、メディアの現状と本質」
 ってな帯でもつけるといいんじゃないかな。
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2010年09月03日

3つの原理

タイトル:3つの原理
著者:ローレンス・トーブ
出版社:ダイヤモンド社
ISBNコード:ISBN978-4-478-00117-2
価格:2400yen

内田樹の著書「日本辺境論」の冒頭で取り上げられていたので、
気になって読みました。

文章自体は簡単なんですが、扱われているモデルが難解。
それほど突飛ではない話なんですが、
妄想大爆発クラスのビッグピクチャーなんで、
頭の中で構成がうまくまとまらないというか。

 アルビン・トフラー「富の未来」
 P・F・ドラッカー「ネクスト・ソサエティ」
 バートランド・ラッセル「幸福論」
 R・バックミンスター・フラー「クリティカル・パス」

いずれも妄想大爆発だったんですが、
各著、割と細部の説明と章の構成がすっきりしていたので、
読みやすかったのに対して。

この「3つの原理」は例証の掘り下げが弱いのと、
編集が不足しているのか章の構成がいまひとつでした。

あと、ちょっと冗長というか、2/3くらいの分量でも
表現できたんじゃないだろうか、という気がする。

ま、気がするだけで、延々と例証を掘り下げて書いた方が
良かったような気がするんだけど、
人類史全体の例証とかすごいことになりそうですね。

でも、松岡正剛の「情報の歴史を読む」では、
それに相当することをやってるしなあ。

まあ、いろいろ思うところはありますが、
「カースト」モデルは何かと有効そうなので、
今後の考察で適用していきたいと思います。

※捕捉
「労働者カーストの時代」から「精神カーストの時代」への
変遷期が、ちょうど現在だとするのなら、
労働者としてのスキルと精神を扱うスキルがかぶっている、
そんな人たちがこれから権威となっていくんじゃないだろうかと思います。

例えば、刀鍛冶とか、プロダクトデザイナーとか、建築家とか、
そういった職業の人たちが、様々な面でイニシアチブを
得ていくんじゃないだろうかと、思います。
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2010年08月23日

図解 形状設計ノウハウ ハンドブック

タイトル:図解 形状設計ノウハウ ハンドブック
著者:松岡由幸
出版社:日刊工業新聞社
ISBNコード:ISBN978-4-526-06495-1
価格:2000yen

ちょい勢いで買ってしまいました。
そして早速、設計に応用。

棒形状の設計改善事例が26点に、
板形状の設計改善事例が24点で、
はじめの4ページに一覧が載っています。

使い方としては、この一覧を見て形状を選び、
該当のページで詳細な改善事例を見る、というカタチになります。

とりあえず、C型形状 -> Z型形状 を試してみました。
寸法比のねじり剛性が多少、良さそうですね。

いちおう、こないだ購入した解析ソフト「CADTOOLフレーム構造解析」で
断面係数とか、せん断応力とか、見てみました。

うん。割と悪くない。

ってなわけで、先日、加工屋さんに加工図を出しておきました。
割と重量物を載せる架台なので、結果が楽しみです。

座屈しないといいな。

ただし、使える事例ばっかりかというと、そうでもないです。
ざっ、と見た感じでは半分くらいが割と使えるかな、というぐらい。

これで2000円というのはちょっと高いかもなあ。
割と知ってるネタもあったんで。

うん。材料力学の補講ネタにしてもらうといいのかもしれません。
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2010年08月17日

街場のアメリカ論

タイトル:街場のアメリカ論
著者:内田樹
出版社:文春文庫
ISBNコード:ISBN978-4-16-777368-7
価格:590yen

ウチダ本、街場シリーズです。

高橋源一郎さんが「ためらいの倫理学」に書いている、
「そんなに若い時に、内田さんの本に会えたあなたを、わたしはほんとに羨ましく思うのである。」
ではないけれど、
この歳で、ウチダ本に出会えたことは、自分にとってかなり、
「ラッキー!」なことなんじゃないだろうか。
(「幸福」ではなく「ラッキー!」ね。この2つ、違うから。)

で、この本、「まえがき」でずいぶんとおなかいっぱいになりますが、本編はそれ以上に濃い。

アメリカとアメリカ人の「民族誌的奇習」を丁寧に描いているだけのように見えますが、
この丁寧な描写と分析がステレオタイプな像を解体してくれるおかげで、
典型的なアメリカ像は姿を消して、
そこにぼんやりとした「人間のふるまい」が浮かび上がってくる。

この本が思い出させてくれるのは、
アメリカに住まう人たちとアメリカという国も、
特定の歴史的経緯と事情によって自己組織化された人間たちの集団で、
我々の理解からは外れる「他者」ではあるけれども、
やはりそこに住まうのは「人間」なんだなあ、ということです。

やっぱり「現代思想」ってのは強力な装置なんだねえ。
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2010年08月16日

街場の現代思想

タイトル:街場の現代思想
著者:内田樹
出版社:文春文庫
ISBNコード:ISBN978-4-16-771773-5
価格:571yen

ちょっと前に読み終えていたのですが、なかなか書く時間がなく。
といっても難解なわけではないんだけれど、だからこそ扱いにくい。

たぶん、いままで読んだウチダ本の中でも、
わかりやすさというか、「口あたりの良さ」では、
1,2を争うもんじゃなかろうか。
まあ、タイトルに「街場の〜」とあるのだから、当然か?

で、中身ですが、

 1.文化資本主義の時代
 2.勝った負けたと騒ぐじゃないよ
 3.街場の常識

の3章だてです。

1.は偏在する傾向を内在している文化資本が、
これから際立ってくるよ、という話でした。
で、その文化資本ってどういうものなんでしょう、というお話。
最後のところ、社会の傾向を2次遅れ系として扱う何気ない一文、すばらしいです。
こういう一文をさらっと書けるのが越えられない文化資本の差なんだろうな。

2.は勝ち犬負け犬の話なんだけれど、与太話っぽくて面白い。
でも、「犬」を解説する一文はドキッとしたね。
外部に自己実現を阻む何かを規定する話形には要注意です。

3.は若者の質問にウチダ先生が長々と答えるという形式で、
計15本のFAQになっているんだけれど、これが実に明快。
「ためらいの倫理学」を読んだあとだから、かもしれないけど。

面白いし、いろんな知的形式のケーススタディ集にもなってるし、
軽い気持ちで手にとると、「あ、また1時間も読んでしまった」
となるような本です。

経験的に、そういう本は良書である可能性が高いですね。
「宇宙船地球号操縦マニュアル」(R・バックミンスター・フラー)とか、
「幸福論」(バートランド・ラッセル)とか。
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2010年08月13日

寝ながら学べる構造主義

タイトル:寝ながら学べる構造主義
著者:内田樹
出版社:
ISBNコード:ISBN4-16-660251-9
価格:690yen

第1章、第2章は面白かったですね。
マルクス、フロイト、ニーチェを構造主義の立場から見ると、
こうなるとは。
ソシュールの話もわかりやすかったです。

以降の章は各論でいささか分散気味で、構造主義に結びつけるのが難しい。
しかし、各分野で構造主義がどうやって浸透していったかが
きちんと書かれているので必読。

3.ミシェル・フーコー
4.ロラン・バルト
5.レヴィ=ストロース
6.ジャック・ラカン

ラカンは著者が難解というとおり、わかりにくい。
物語の共有ってところは松岡正剛の編集論に近いのでなんとか捉えられましたが。

バルトはこれから「表徴の帝国」に挑むつもりなので、
テクスト論の簡単解説は参考になりました。
エクリチュールはいまひとつ、捕捉できていないけれども。

レヴィ=ストロースは文化人類学の分野ということで、
これまた難解でしたが、贈与と返礼はなるほど、というカンジ。

フーコーの話が一番、面白かったですね。身体性という観点。
意識は身体動作で変えることができる。変わってしまう。
あと、実は「ナンバ早歩き」ができたりします。自慢。
「ナンバ走り」はちょっときついけどね。

というわけで、部分的にしか読み込めていませんが、
構造主義自体が広汎すぎるんで、はっきりとは気がつかず、
いつのまにか適用してたりするんでしょうね。

寝ながら学べるほど簡単ではないですが、
日々の生活で「構造主義探し」をするのも楽しいかも、と思いました。

といっても、構造主義に一番どっぷりなのは、自分の世代なのかもしれませんが。
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2010年08月09日

下流志向

タイトル:下流志向 学ばない子供たち 働かない若者たち
著者:内田樹
出版社:講談社文庫
ISBNコード:ISBN978-4-06-276399-8
価格:524yen

内田樹さん、すごいです。2回目。

なぜ日本において、子供は勉強せず、若者は仕事をしなくなったのか。
階層化が進み、2極化が進むのはなぜか。
今回もブレのないスタンスで鮮やかな回答を見せてくれています。

ちなみに私自身が「ロスト・ジェネレーション」「ゆとり世代」
といわれる世代に属していますが、
まさにこの「学級崩壊・ニート」世代の3年上。

耳が痛いですよね。
著者はこの本で「イデオロギーの影響が大きい」と弁護してくれていますが、
孤立的な傾向は私も認めざるをえないです。

そりゃ、生まれてから20年間、環境中に飛散する
「孤立的たれ!」というメッセージを浴びつづけていたんだから。
よほど自覚的じゃないと、そうなっちゃうよね。

とはいうものの、社会全体がまだ変化しきっていなかったし、
育った環境や、ちょっと変わった母校のおかげで、
ギリギリでニートとかにはならずにすんでいます。

まあ、わりと下流ですけどね。

そういう意味で、1970〜80生まれの世代は、
奇跡的なバランスでこの「孤立的傾向」と
「共同体への信頼」が並立しているようです。

割ととんでもない人ばっかりだったもんねえ。
息をするように、とんでもない成果を出し続ける人たち。
まあサンプリング対象が京大と関関同立を卒業した人ばっかり
というのもいろいろと問題がありそうだけどね。

ま、この本のキーワードは
・リスクテイクとリスクヘッジ
・自己決定と自己責任
・消費主体と労働主体
・時間感覚と
・無時間性と経済的合理性
あたりかと思います。

これで内田樹さんの本は4冊目ですが、
フランス現代思想の伝統を受け継いだうえで、
人間の考察から社会現象を読み解いていくのが、
ひとつの「型」なのかな、と。

で、うだうだ書いていますが、私は納得しつつも、
まだ何かひっかかるものがあったりします。

つまり解釈としては妥当だけれど、
これは個人としてはどうしようもないんではないか、という。
無力感みたいなものなんでしょうかね。これ。

既に20年かそこらかけてインプリメントされた、
「孤立的傾向」をとる思考のベースを、
常に意識して回避しつつ、生活を営むというのは、
無理ではないけれども、とても困難なことなんじゃないかな。

これを簡単だという人は、幸いにも「孤立的傾向」を
インプリメントされていないだけだと思います。
さもなくば、ニーチェの「超人」か。

マリリン・マンソンが「ボウリング・フォー・コロンバイン」で言ってるように、
「俺がアメリカをダメにしたんじゃない。ダメなアメリカが俺を生んだんだ。」
ってことですよ。
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2010年08月03日

私家版・ユダヤ文化論

タイトル:私家版・ユダヤ文化論
著者:内田樹
出版社:文春新書
ISBNコード:ISBN4-16-660519-4
価格:750yen

内田樹さん、すごいです。

この「ユダヤ人と反ユダヤ主義」というわけのわからないモノを、
まったくの素人の私がわかるレベルにまで分節して
なんとかぼんやりとわかるくらいまで説明してしまうあたりが。

そして「ユダヤ人はなぜこれほど他分野で傑出した才能を示すのか」について、
納得のゆく提言をはじめて読んだ気がします。

なるほど。読み直すのが怖いくらいに、なっとく。合点。

たっぷり睡眠をとって脳を休め、コーヒーを飲んで目を覚まし、
軽めの新書を一冊くらい読み通して助走をつけてから
読み始めるといいと思います。

私はそうやって読み始めて、3時間半くらいで読み終えました。

やー。MM9よりもこっちのほうが面白い。

それにしても『街場のアメリカ論』を読んだ後にも感じたけど、
異質なモノの存在を認識したあとって、
どうしてこうも空恐ろしくなるんだろうね。

同じ人間なのにここまで異質な思考をできるという、
それ自体にとてつもない何かを感じてしまう。

もしかしたら、世界の広さ、いや、既知だと思っていた世界が、
実は全く未知のものを大量に含んでいて、
自分は何も知らないと感じたときの恐ろしさってやつかもしれないけど。

それでそれで。
読み込みが浅いかもしれないけれど、自分なりにメモすると。

・ユダヤ人の定義についてはちょっとわかんなかった
・というのもトートロジー(同語反復)っぽいから
・でも反ユダヤ主義が生んだ幻想でない、というのは理解した
・ユダヤ人は「遅れてきた」ために、存在すること自体に有責性を感じる
・ゆえに自分自身の存在ならびに思考経路に対して本質的に懐疑している
・また「遅れてきた」ゆえに「原因->結果」というスキームが自明ではない
・この2点より「ユダヤ人以外からすると普通ではない」思考が標準となる
・この「普通ではない」思考が様々な分野での傑出した才能につながる
・もちろん有責性ゆえに、なされる努力も半端なものではない

ってなところでしょうか。
あとはレヴィナスとサルトルが終章でたくさん引かれていましたが、
それを読んでいると「フランス現代思想」も面白いかも、と、
悪い虫が騒ぎ出しました。実在っすよ、実在。
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2010年08月02日

一億三千万人のための小説教室

タイトル:一億三千万人のための小説教室
著者:高橋源一郎
出版社:岩波新書
ISBNコード:ISBN4-00-430786-4
価格:720yen

すんなりと読み通せました。なんでだろう。
ひっかかるところがないのは、ちょっとイヤな感じですね。
だいたい何かを得るときには、消化不良の感覚があるんだけれど。

まあいいや。

レッスン6の「あかんぼうみたいにまねること,から……」
は「そうだよね、そうだよね」といいながら読みました。

私が小説を書き始めたのは中学生のころで、
そのころはライトノベルとかを手本にしていたわけですが。
っていうか、中学生くらいになると、何か書きたくなるよね。
みんな、ふつう、そうだよね?

しかし村上春樹『羊をめぐる冒険』の冒頭が
レイモンドチャンドラー『長いお別れ』をまねていたとは。
ちょっと不思議な感じです。

あと、エーリッヒ・ケストナー『エーミールと探偵たち』の
引用はすごくわかりやすかったです。

ほんとうに知らないことを小説に書くことはできない。

だから私は勤め人になってから小説を書いていないわけなんですけどね。
まあ今になって思えば、あの当時の体験はちょっと脚色を加えるだけで、
十分、小説として成立するものだったと思うんですけど。

 え?
 じゃ、なんでこんな本を読んでいるかって?

 それはね。
 もう一度、小説を書いてみたいな、と思ったからですよ。

こうやって毎日、ちょこちょこと文章らしきものをこさえていると、
逆に文章を書いていくなかで理解できることってのが多いことに気がつきます。
これは報告書やプレゼンでも言えることで、
文章を作る課程で事象が整理され、ようやく理解できるわけです。

思えば、文章を書くことで思考を整理する技能というのは、
本来、小学校や中学校で身につけているはずなんですけどね。
中学生のころにそれができていたようには思えない。。。

そういう技能を私が身につけているのは、
高専の後半3年間で毎週ねつ造を続けた実験レポートのおかげで、
あとは、勤め先でユーザーへの釈明メールをほぼ毎日書き続けたのも大きいと思います。

勤め先を変わって、ここ2年間ぐらい、
仕事で文章を作ることはさっぱりなくなっていしましましたが、
こうやって頻繁にエントリを書くことで文をこしらえる作業は
続いていたりします。

で、私にとって文章を書くというのは思考を整理する作業に近いのですが、
それは現実や状況の整理にも使えると思うのです。

そして、今、一見、混沌とした現実が目の前に広がっていて、
私はとても混乱しているように思えるのです。

そんな自分の現状を言語化し、文章に仕立て上げていくなかで、
何か突破口が見つかるかもしれないし、
たとえ見つからなくても、精神の安定にはつながるだろう、と。

ちょっと実利的すぎるかもしれないですが、
そういうことを考えて、小説を書いてみたいな、と思っています。

書きはじめるのはいつになるかわかりませんけれども。
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2010年07月30日

MM9

タイトル:MM9
著者:山本弘
出版社:創元SF文庫
ISBNコード:ISBN978-4-488-73701-6
価格:860yen

ひさしぶりにSFとか買いました。
そして2時間半で一気読み。

いやー。面白いっす。
こう現実にすとん、と違ったモノを割り込ませてみました、
ってな感じがね。

とくに大げさな舞台装置を用意しなくても、
面白い話は面白いんだなあ。

壮大な設定が大切かと思っていましたが、
目からウロコです。

んー。感想はそんだけ。

いや、こういうのって楽しめたらOKじゃないですか?
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2010年07月22日

超高真空技術の実際

タイトル:超高真空技術の実際
著者:G.F.Weston
訳者:石川和雄
出版社:共立出版
ISBNコード:ISBN4-320-03285-3
価格:8240yen

8,240円ですよ。8,240円。久しぶりに5,000円超の本です。
ここ数年では「ゲーデル,エッシャー,バッハ」以来じゃないでしょうか。

いやー。でも値段に見合った素晴らしい本でした。
イギリスの人が書く教科書というのはなんでこんなにわかりやすいんだろう。
G・E・ゴードンにしても、F・アシュビーにしても。

そしてひたすら実用的。現象を大切にしている。

この本も図やデータがしっかりと載っていて、
まさに、実際に真空装置を作りたいと思っている人のための本です。

早速、設計資料用の本棚に格納。

あと、併載になっている石丸肇氏の
「アルミニウム合金製超高真空システム」
もとてもよかったです。
材料の熱処理記号まできちんと書かれているのが素晴らしい。

あとは押出材の加工方法にまで言及しているのもマニアックでいいです。
切削直後にすぐ表面酸化しはじめるけど、
酸化膜形成中は表面がポーラスだから切削油中の炭素とかを
キャプチャしちゃうよ、と。
だから不活性ガス(アルゴン)やエタノール噴霧中で加工しなさいと。

私としてはエタノール噴霧中での切削加工が安価でいいと思いました。
早速、工業用エタノールの見積をとってみようと思いました。
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