2014年02月26日

JAXA公式GPM/DPRアニメにおけるH-IIAロケットの間違い探し

GPM計画におけるGPM主衛星の打上が近づいてまいりました。H-IIAロケット 23号機での打上ということで現地に見学にいかれている方も多そうです。

で、このGPM計画で話題になったのが、JAXA公式のGPMをPRするためのアニメーション。PRとしては素晴らしい方法ですよね。主衛星のCGなどは細部まで丁寧に描写されていますし、短い時間の中に圧縮したストーリーをうまくおさめてあると思います。主衛星のCGすごいですよね。

GPM主衛星だけでは「今日は晴れる」とかすぐにはわかんないはずなのでちょっとミスリードな部分もあるかと思いますが、GPM計画で収集されたデータを元にして天気予報の精度が向上するのはほぼ間違いないと考えていますので、まあそのあたりもPRとしてはよいのだろうな、と思います。このあたりはJAXAの特設サイトの解説が素晴らしいのでそちらを読んでいただくのが間違いないでしょう。

「GPM主衛星概要」 http://www.satnavi.jaxa.jp/gpmdpr_special/gpmdpr/gpmdpr.html

問題は輸送系であるところのH-IIAロケット描写です。ここに大きな間違いが2箇所あります。衛星のPRが目的なのでロケットの描写が多少間違っていても問題ないだろうという話もあるにはあるんですが、いちおうJAXA公式のアニメーションであれはまずいだろう、とロケット者の界隈では話題になっていましたので、ここに書いておこうと思います。

<問題のシーン・その1>



固体ロケットブースター SRB-A の分離シーンです。これの何が間違っているのか。

「SRB-Aの模式図」


打上中継を見られている方はご存じだと思いますが、SRB-A分離は、

1. 前方ブレスをブレスの機体寄り中間部で切断
2. その0.5秒後ぐらいに後方ブレスをブレスの機体寄り中間部で切断
3. その2秒後ぐらいにスラストストラットをストラットの根元付近で切断

という過程を踏みます。ところが公式アニメでは3本とも根元から一斉にぶちっ、と切っちゃってるんですね。ここがよろしくない、と。SRB-A分離は何かと過去に問題があった部分ですし、ブレス/ストラットの切り離しに火工品(火薬を用いて動作させる構造部品)を使いますのでわりと大事なところなので、この描写はちょっと辛いものがあります。

まあでもわかっててもそこまで作画する予算がなかったんだろうなあ、という製作者側の事情もあるのかな、というので責めづらいところでもあります。あれをCG作るのとかすごく大変そうですし。


<問題のシーン・その2>



第1段・第2段分離のシーンです。ここは何が間違っているのか。

「H-IIA F23 フライト予定」


「事象」の欄、項目6と項目7を見てもらうとわかるかと思いますが、「第2段エンジン始動」は6分50秒で「第1段・第2段分離」の後です。「第1段・第2段分離」は6分44秒。なので、分離してからエンジンが始動するはずなのですが、公式アニメでは分離する前にエンジンが始動してしまっています。とてもアポロの映像っぽいですね。M-Vなら「ファイア・イン・ザ・ホール」方式ということで正しいのですが、H-IIAでは分離して距離が開いてからエンジン始動してガスが噴射されるので、この描写だとちょっと辛いですね。

作画に力が入っている部分だけに事前に発注者から注意がなかったのではなかろうか、と考えています。


<問題のシーン・その3>






これはたいした話ではないのですが、やっぱり間違いじゃないだろうか、ということでとりあげておきます。一連のシーン「0:54〜0:56」でこの後にリフトオフするわけですが、実際の打上動画を見てみると、

1. メインエンジン点火
2. エキスパンダサイクルでの燃焼(赤っぽい噴射)
3. 2段燃焼サイクルへの移行と燃焼(青っぽい噴射)
4. 固体ロケットブースター SRB-A の点火・噴射

という経過になっています。
(下の画像を見てもらえるとそれがわかるかと思います。)

「メインエンジンが2段燃焼サイクルで燃焼」

「SRB-A点火」

「リフトオフ」


これも作画はきちんとしているので、発注者の指示が不足していたのかな、とも思うわけですが、どういった発注仕様なのかわからないので、なんとも言いにくい部分だったりします。

あとは管制室ですが、これはNASAっぽいようなJAXAっぽいような微妙な作りだなあ、と。作業服ではないし液晶ディスプレイ3面ばっかだからJAXAではないよね、という意見。いやいや今年度の改修でJAXAの管制室も液晶ディスプレイに置き換えられたのではないだろうか、という意見。いろいろ盛り上がりました。


<問題のシーン・その4>



火花が散ってるだけですが、「1:12」秒のところ。これはフェアリング開頭のシーンになるわけですが、火薬は導爆線(下の画像)の中にあるので内部(衛星側)から火花は見えないのではないか、という意見が大勢でした。ただ、実際にフェアリング開頭試験で内部に仕掛けられたカメラの映像を見た人間がいたわけではないので、本当のところはどうかわかりませんが、これはちょっと疑わしいのではないかということでとりあげました。




いろいろぐだぐだと文句はつけましたが、はじめに書いたようにアニメーション全体はよい出来ですし、こういったPRが採用できるだけの幅があるのはよいことだよな、と思うので、ああ、こういうところを気にする人達もいるんだな、ぐらいに思ってもらえればよいかと思います。。。


posted by kirikuzudo at 20:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記
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