2020年02月22日

圧力タンクの法的根拠などについて(その1)


「一匹の亡霊が日本を徘徊している。コンプライアンス(法令遵守)という亡霊が。」みたいな昨今ですが、みなさま、いかがお過ごしでしょうか。

検定を受けていない圧力タンクも最近は見かけなくなりましたが、ここで圧力タンクの法的根拠を確認してみようと思います。

 ※この記事で圧力タンクは空気あるいは窒素やアルゴン等の不活性ガスを貯蔵する容器として考えています。

圧力容器の法的な根拠は下記の4つになります。

・労働安全衛生法
・高圧ガス保安法
・電気事業法
・ガス事業法

このなかで電気事業法は発電所の、ガス事業法はガス供給に関連する圧力容器の話なので割愛します。

今回は労働安全衛生法の面から圧力タンクを見てみます。


<労働安全衛生法および関連法規での圧力容器の位置づけ>

まずは労働安全衛生法のほうから見ていきたいと思います。労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)自体には圧力容器に関する具体的な記述はありませんが、同法における「厚生労働省令で定める特定機械等」が圧力容器に該当します。

圧力容器についての具体的な記述は下記の省令が該当します。

「ボイラー及び圧力容器安全規則」
 (昭和四十七年労働省令第三十三号)
 (令和元年五月七日改正)


<圧力容器の定義>

同法の第二条に書かれているとおり、圧力容器は「労働安全衛生法施行令」(昭和四十七年政令第三百十八号)の第一条で下記のように定義されています。

--------------
 ・第一種圧力容器(小型圧力容器は除く)
   ・蒸気や熱媒で固体または液体を加熱する容器で、容器内の圧力が大気圧を超えるもの
   ・容器内における化学反応、原子核反応で蒸気が発生する容器で容器内の圧力が大気圧を超えるもの
   ・容器内の液体成分を分離するために液体を加熱して蒸気を発生させる容器で容器内の圧力が大気圧を超えるもの
   ・大気圧における沸点を超える温度の液体をその内部に保有する容器

 ・小型圧力容器
   ・第一種圧力容器で下記を満たすもの
     ・0.1[MPaG]以下で使用される容器で、内容積が200[L]以下のもの
     ・0.1[MPaG]以下で使用される容器で、胴径500[mm]以下かつ全長1000[mm]以下のもの
     ・容器の最高使用圧力A[MPa]と内容積B[m^3]の積 A x B が 0.02以下のもの

 ・第二種圧力容器
   ・0.2[MPaG]以上の気体を内部に保有する容器で第一種圧力容器以外のもの
     ・内容積が40[L]以上の容器
     ・胴径200[mm]以下かつ全長1000[mm]以上の容器
--------------

第一種圧力容器はプラントにおける反応塔や蒸留塔、液化ガスタンクなどが該当します。そのため、圧力タンクであれば第二種圧力容器だと考えればよいかと思います。

以降は第二種圧力容器に話を絞ります。

  ※第二種圧力容器の定義では
   内容積が40[L]以上となっているので、
   ホームセンター等で入手できる安価なコンプレッサーの
   タンク(だいたい30[L]ぐらい)は除外されます。
   でも自主定期点検はしたほうがいいと思います。


<圧力容器安全規則における第二種圧力容器への要求>

定義を確認したので、「ボイラー及び圧力容器安全規則」に戻りましょう。第二種圧力容器に関する記述は第八十四条以降になり、以下の項目があります。

 ・検定
 ・安全弁の調整
 ・圧力計の防護
 ・定期自主検査

「検定」は検定の要求になっています。この労働安全衛生法 第四十四条第二項の検定を指します。有名なところでは下記の協会の個別検定が該当します。

 一般社団法人日本ボイラ協会 − 個別検定
 https://www.bcsa.or.jp/kensa/cat5/

 ※圧力容器は「個別検定を受けるべき機械等」として
  労働安全衛生法施行令第十四条四項に指示されています。

「安全弁の調整」は最高使用圧力以下で安全弁が作動するよう調整することを要求しています。これは安全弁の取付要求でもあります。安全弁は下記のようなものになります。

 株式会社ヨシタケ 安全弁 AL-150
 http://www.yoshitake.co.jp/prod/category/product.php?id=1030001


「圧力計の防護」は圧力計が凍結あるいは80[℃]以上にならない措置を要求しています。これも圧力計の取付要求で、下記のようなブルドン管の圧力計が想定されています。

 長野計器株式会社 圧力計 AC20、AC10、AC15
 http://products.naganokeiki.co.jp/product/2/3/4/1722.html

 ブルドン管の指示針は凍結したり高温になると正しい値を示さなくなることがあるので防護措置はこれを避けるためのものです。


「定期自主検査」は1年以内ごとに1回の自主検査を要求しています。自主検査では

 ・本体の損傷の有無
 ・締付けボルトの摩耗の有無
 ・管および弁の損傷の有無

を行います。ここで異常が見つかった場合は補修等の措置が必要になります。


<設計と製造>

第二種圧力容器の設計はJIS B 8265:2017およびJIS B 8267:2015に基づいて行います。製造には資格要求がありませんが、一般的には溶接作業があります。
設計計算書に記載した溶接方法については日本溶接協会の溶接技能者資格を有する作業者が行うべきではあります。また、継手の信頼性が要求される大型/高圧の第二種圧力容器の溶接は、普通ボイラー溶接士の資格所有者が行うのがよいかと思います。

 日本溶接協会 − 溶接技能者資格について
 http://www.jwes.or.jp/mt/shi_ki/wo/archives/04/


<個別検定への対応>

個別検定については下記のページが詳しいです。

 一般社団法人日本ボイラ協会 − 個別検定申請の流れ
 https://www.jbanet.or.jp/examination/individual/exams/

図面と設計計算書に対して事前設計審査があり、それでOKが出ると日程を決めて水圧検査・外観検査・材料検査の協会検定員立会検査があります。

水圧検査は最高使用圧力の1.5倍の水圧で行います。材料検査は材料証明書(ミルシート)で確認することになります。

ここで特に問題が見られなければ検定は終了となり、数週間後に検定機関の「合格済」印と検定番号が押された検定証が届きます。


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次回は高圧ガス保安法の面から圧力タンクを見てみようと思います。


posted by kirikuzudo at 15:33| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記
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