2016年09月10日

「液体ロケットエンジンは推力を生み出す化学プラントである」

 というようなことを固体ロケットメーカーであるIHIエアロスペースの技術者が「ロケットまつり」というロフトプラスワンで行われたトークイベントで発言していたと聞いたことがあるが、これは実に正しい認識である。液体ロケットエンジンは推力を生み出す化学プラントである。ロケットはノズルから高速で流体を噴出することで推力を得ている。ノズルがあり、流体を噴出して推力を得ていればそれはロケットであるから、ペットボトルに水と圧縮空気をつめて飛ばすペットボトルロケットも正しくロケットである。なぜロケットエンジンが液体を噴出する流体として使用していないかといえば、比推力が低すぎる、つまり噴出した液体に比して得られる加速の積分値が低すぎるためである。そこで気体を噴出する。だが、気体は液体と比べて密度が低い。運動量保存則から噴出する流体の密度が低い場合は速度をあげてやらないと十分な推力を得られない。どのように速度をあげるか。直感的に気体に高い圧力をかけてやれば勢いよく噴き出しそうな気がする。事実、噴出する大気の約1.9倍までは圧力に比して気体の噴出速度は高くなる。しかし、それを超えるといくら高い圧力をかけても気体の噴出速度はあがらない。音速に達するからだ。音速を超えるにはどうするのか。ここでロケットエンジンの象徴ともいえるノズル(ラバールノズル、De Laval Nozzle)が登場する。ノズルは音速の気体を超音速にまで加速する数少ない機械装置である。こうして気体をノズルから噴出することで現実的な比推力と推力を得ることができる。しかしながら、ノズルはタダで気体を超音速まで加速してくれるわけではない。代償として気体のエンタルピーを消費する。エンタルピーとは単位質量あたりの気体の圧力と温度に蓄えられたエネルギー量のことである。つまり、ノズルは気体が持っている圧力と温度を速度に変換する装置であるとも言える。これは言い換えればノズルから噴出する気体の速度はノズル入口における気体の温度と圧力に依存するということになる。温度と圧力を非常識なオーダーまであげれば噴出する気体の速度は3000[m/sec]以上にもなる。これが世間一般のロケットエンジンである。ではどのように気体の温度と圧力を上げるのか。気体の温度と圧力を上げる方法で最も単純なのは密閉空間で燃焼させ燃焼熱を用いて燃焼生成ガスの圧力と温度を上昇させることである。燃焼は熱を発する酸化反応で、反応生成物が気体であれば都合がよい。人類がたどりついた答えは2つあり、ひとつが固体の燃料と酸化剤を圧力容器内で進行燃焼させる方法で、もうひとつが液体の燃料と酸化剤を圧力容器内に連続注入しつつ燃焼させる方法である。(核分裂反応により生じる熱で気体を加速する話は得意な人に譲る。)さて、ペットボトルロケットからはじめて、ようやく液体ロケットエンジンにたどりついた。まとめてみよう。圧力容器内に燃料と酸化剤を連続注入しつつ燃焼させて生成した燃焼ガスの温度と圧力をノズルにより速度に変換して噴出することで現実的な推力を得る装置。これが液体ロケットエンジンのコアとなる定義である。(異論は認める。)これだけ見れば実にシンプルだ。140字もかかってない。しかし、これを実現するために必要な対応をしていった結果が名古屋市科学館のロビーに展示されている、あのLE-7エンジンなのだ。


というボツ原稿でした。
やっぱり冬コミ委託は無理だね。
文章が書けなくなってる。
posted by kirikuzudo at 23:25| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記
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