2015年11月15日

製品は工程に由来する、製品は工程に依存する

 新型基幹ロケットの現段階での概要が半年ほど前に発表された。

 それなりに優秀でチャージも高い人間が多数あつまって決定された内容にしては従来の踏襲という内容で非常に残念な感じが漂う。貧乏が悪いと言えばそれまでだが、どうしてこうなったかを考えたときに、やはり「製品は工程に由来する」という部分は決して小さくない。

 今回の案ではほとんどの設備を流用し、新設されるのは種子島の移動発射台(ML)だけである。VABは改修。老朽化が進む推進剤貯蔵関連設備は現状維持。射点は改修。この予算では飛島工場でもほとんど改修で新しい建屋などは新設できないだろう。工程がかわらないのであれば、最終製品が変わることなどできやしない。

 なぜか。飛島工場はとりあえずおいて、種子島の部分だけを見てみよう。

 港で陸揚げされたロケット部分アセンブリを収納したコンテナはそのままトレーラーにのせられて港から射場まで運ばれる。VABの中でコンテナからクレーンでロケット部分アセンブリは吊り上げられ、縦に積み上げる形で組立整備されていく。

 この部分でまずコンテナのサイズ、トレーラーのサイズ、トレーラーが通る車道のサイズ、建物の開口サイズと建物の天井高さ、組立整備空間の平面面積、クレーンの揚程という問題が出る。ロケットの全高はクレーンの揚程より小さくせざるおえない。当然、クレーンの揚程は建物の天井高に依存する。そして、全高を分割する数はロケットの構成上あまり増やせないので、部分アセンブリ自体の高さも相応のサイズになるが、これもトレーラーの長さの制約を受ける。

 またロケットの直径は組立整備空間のフロア平面面積に制約をうけるし、コンテナの内寸とトレーラーの全幅、ひいては車道の幅にも制約をうける。現状ですら、職人芸でせまい車道をうねうねと移動しているのに、だ。

 VABの中で組立整備が完了し射点まで機体移動する。移動発射台は機体にあわせて新設されるので最適なものができるだろう。だが、VABの扉のサイズは決まっている。ここでもサイズの制約をうける。射点についても改修することになっているが、現在H−IIBを使用している射点をベースとする以上、その内容に縛られることにはかわりはない。

 こういったことを一般化してしまうのはまずいとは思うが、こと、基幹ロケットに関しては、工程の制限をあまりに軽視しているのではないかという話になる。予算を決める人間は「物を買う」感覚しかなく「物を運用する」感覚に欠けているのではないかと思いたくなる。

 ロケット部分アセンブリは確かに工場で作られる工業製品だが、最終製品である「軌道輸送」は運用がなされてはじめて完成する。つまり種子島で離床するまでのすべての作業はロケットを構成するための工程である。それを考慮せずに新型だと言っても内実はなにもかわらないものになるのは仕方ないのではないだろうか。

posted by kirikuzudo at 16:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記
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