2015年10月16日

「JAXAタウンミーティングinみよし」に行ってきました

2015/10/10(土)のお昼から愛知県みよし市であった「JAXAタウンミーティングinみよし」に行ってきました。サブタイトルは「宇宙探査の今と未来を語ろう」でした。

<概要>

登壇者は

 ・広報課長 岸さん
 ・宇宙探査イノベーションハブ長 國中さん
 ・事業推進部計画マネージャー 戸田さん

のお三方。

2部構成で、

 ・第1部:宇宙探査イノベーションハブについて(國中さん)
 ・第2部:社会に役立つ人工衛星(戸田さん)

となっており、その前段としてJAXAのイントロダクション

 ・事業概要説明(岸さん)

があります。

第1部と第2部では登壇者から説明があり、
そのあとに意見交換のフェーズにうつります。
30分プレゼンの30分が質疑応答、というスタイルをイメージしてもらえるとよいかもしれません。


<事業概要説明>

事業概要説明はざっくりとJAXAが何をやっているかの説明でした。
お金の話では、

 ・国家予算における科学技術振興費の割合とその中でのJAXAへの配分
 ・NASAとESAとJAXAの予算比

あたりが出てきましたし、直近の話題としては、

・寄付金6457万円ありがとうございました
・油井宇宙飛行士、ISS、HTV5の話
・はやぶさ2スイングバイがもうすぐ
・あかつきの軌道変更も
・ASTRO-H打上げ
・D-SEND#2
・次期基幹ロケット、強化型イプシロン
・ERG、ベピコロンボ、SLATS

というあたりが紹介されていました。


<第1部>

宇宙探査イノベーションハブ、についてのお話でした。
スライドも事前配布されていました。説明はほぼこのスライドの内容に沿って行われていました。

「宇宙探査イノベーションハブについて」
http://fanfun.jaxa.jp/event/files/event_20150709_2r.pdf

詳細は下記がわかりやすいかと思います。

「ISASニュース 「宇宙探査イノベーションハブ」新設」
http://www.isas.jaxa.jp/j/isasnews/serial/jijo/201506/4.shtml

「文部科学省 宇宙開発利用部会 資料 宇宙探査イノベーションハブについて」(pdf)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu2/071/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2015/04/20/1356794_2.pdf


<第2部>


社会に役立つ人工衛星、というお話でした。
基本的にはリモートセンシングの衛星について紹介と成果報告。
ALOS-2、QZSS、GPM/DPR、GCOM-Wあたりです。
下記サイトの「地球観測衛星」「通信・測位・技術試験衛星」が該当します。

「JAXA プロジェクト 人工衛星・探査機による貢献」
http://www.jaxa.jp/projects/sat/index_j.html


<全体を通しての感想>

まず「意見交換会」という建前なんですが、意見交換できる素地が双方にないよね、というところが参加していてつらいところですね。

ホールという会場選定からして「意見交換」する気があるかどうか疑わしいんですが、そこはJAXA広報さん的にどう考えておられるのか気になります。

選定されたテーマも「本当にそれは市民と意見をやりとりする必要があるんですか」というもので、そこも意見交換する気があるのかどうか疑ってしまう要素になります。

「宇宙探査イノベーションハブ」などは特にそうで、そういうのはオープンイノベーションフォーラムで興味のある企業さんと意見交換をしていけばいい話で、市民に対して意見を求めるような種類のものではないという気がします。

「社会に役立つ人工衛星」というのも、市民側からあったら便利な衛星をその場で提案するとかわりと無茶な話ですよね、どうしろと、という感じがあります。

人工衛星にしろ探査計画にしろ宇宙開発には技術の問題が常につきまといますし、各省庁間の調整や予算配分の実態などの政治まわりも理解しておかないといけません。その素地がない一般市民としてはどこをとっかかりにして意見交換したらいいのかわからないというのが正直なところで、有意義な意見交換というのには程遠い状態だったかと思います。

広報的には「理解を求める」というスタイルなのかもしれませんが、それだったら「意見交換会」などとという看板は下ろして「説明会」とでもしたほうがよいと思いますし、「意見交換会」というお題目がないと広報事業として成立しないというのなら、それこそ末期的だな、と思うわけです。

もし意見交換会としてきちんと意見交換をしたいのであれば、もっと踏み込んだテーマで、意見交換のポイントも事前提示しておくのがよいかと思います。また、参加者には予習を求める必要もあるでしょう。そうすればあさってな方向の意見が頻出することもなくなると思います。これに際しては、相当量の情報開示がJAXA広報側にも必要になりますし、それは見えない制約となっている様々なしがらみを文書化しなければならないということにもなりますので、どこまで実現できるかわかりませんが、本当に対話したいのであればクリアしなければいけない部分かと思います。

実はテーマ選定の種をつくったのは自分なので、もっと深くコミットしてJAXA広報さんの意図を汲みつつ、意見交換が成立するテーマを練り上げればよかったという後悔もあります。終わった後の消化不良感はけっこうきつかったので、できれば次はこうならないようにしたいという気持ちが強いです。

あと些末なことですが、意見交換に際しては、わりと同じ方が発言を複数回されることも多かったので、そのあたりのマネジメントもきちんとできたらな、とも思います。

というのが、全体を通しての感想です。


<事業概要説明についての感想>

事業概要説明については、これで10分以上時間をとる必要があるのか疑問です。予算の話はペーパー1枚で済むことですし、現在進行中のあれこれについてはそれぞれ綺麗なペーパーやパンフレットが既にあるわけですから。

市民はJAXAには興味なくて、各プロジェクトに興味があるわけで、その各プロジェクトの結果としてJAXAに価値が生まれたらいいんじゃないか、と思うのですが、それが逆になっていないかな、と感じます。JAXAに価値をつけるために各プロジェクトをやってるわけではない、と。

もちろん、組織として存続する必要はありますし、そのためにはJAXAに価値があると表明しつづける必要はあります。でも組織の存続のためにプロジェクトを考え始めるというのは単なる官僚機構ではないか、という思いも抱いてしまいます。


<宇宙探査イノベーションハブについての感想>


宇宙探査イノベーションハブについては、一企業の立場としてもメリットがよくわからないというのが正直なところです。モデルケースがないのであれば、ケーススタディなどの提示をしてもらえると考えるとっかかりになっていいんじゃないかと思います。

ただ、技術が移転可能な何かだと思われているところにはひっかかりを覚えました。実際には利用されるところがあってそこにアウトプットするためにだけ技術は存在できるわけで、そう都合よく宇宙関連技術を地上の応用にスピンオフすることはできないでしょうし、なかなかマッチングは難しいんじゃないかというのが感想です。(例えばイオンエンジンを地上でどう応用するかとか、なかなか難しい話なんじゃないかと思います)


<社会に役立つ人工衛星についての感想>


リモートセンシングは観測頻度が重要ということが言われていましたが、基幹ロケットは射場制限で年間5〜6機が限度ですし、ほぼ9割という成功率を考えると2年に1回はロストがあるわけです。(みなさん、忘れてるかもしれませんが、ロケットに100%はありません。)そして、そのすべてがリモートセンシング衛星に使えるわけではありません。

なので、おそらくリモートセンシングも小型衛星のコンステレーションやSLATSのような超低高度衛星を応用した、イプシロンのような小型輸送系でも対応可能なものを視野にいれていく必要があるんじゃないかと思います。

そもそも内之浦の打上対応能力というか、種子島の固体ロケット推進薬充填能力がどこまであるかという話もあるので、実はイプシロンにも基幹ロケットとつながった打上タイミングの制約があります。(基幹ロケットの固体ブースターとイプシロンの推進薬充填は共通の施設でおこなっているのでリソースが競合している)

というわけで、結局、輸送系の地上系が貧弱なのがいろいろと衛星利用の制約になっているんだなあ、というのをぼんやりと考えていました。あんまり関係ないですね。。。

役に立つ人工衛星という話で行けば、もうちょっとSSPSの話が盛り上がるかな、とも思っていたのですが、あまりそういう話も出ませんでした。


<余談>

「民間の宇宙開発業者が増えてきてるけど、JAXAとしてはどうとらえている?」

という会場からの質問に國中さんが以下のように答えていました。
(要約です)

 ・民間同士での共同開発は利権の問題があるが、JAXAは宇宙で民間は地上
 ・宇宙で事業を興す人はいまのところいないだろう
 ・直接、宇宙事業をしたい人たちとは競合になるかもしれない
 ・決まりきった会社さん、プライムが現状での宇宙のプレーヤー
 ・宇宙のプレーヤーを増やすのはいいことなので、民間の宇宙開発業者が増えるのはよいこと
 ・ロケット打上に関しては安全取り決めが政府=JAXA間であるので民間参入は無理だろう


COTSみたいなことは日本では無理なのかなあ、なんて考えながら、USで言えばJPLの部門長に相当する人がこういう認識でいいんですかね、とも思いましたが。


以上。
posted by kirikuzudo at 09:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記
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