2020年03月22日

フェアリング空調の検討(その8)

 フェアリング空調がどういうものか理解するため、串本町のスペースワン社のロケットを題材にフェアリング空調の検討をしてみました。

 なんだかしばらく見ないうちにスペースワンの射場建屋配置が発表されてしまい、どう見ても垂直整備・移動発射台の方式という感じになっていましたので、(その6)はやる必要ありませんでしたね。

 ※実は(その7)が書きかけだったのですが、そんな事情で欠番です。またいずれ書き上げてアップしたいと思います。

 今回は(その5)からの続きになります。


<ふりかえり、そして、いまからやること>

 (その4)と(その5)でだいたいの機器選定ができたところでした。これを実際に配置して装置として組み上げていくわけですが、制御盤と必要な配線を先に図面として出しておく必要があります。このあたりが見えていないと電気計装への配慮が欠けた配置で装置を設計してしまい、電気屋さんから文句を言われる羽目になりますし、そういうものはだいたいメンテナンスがしんどいものになります。

 では、まず制御盤に使用する機器の選定をしていきましょう。


<所要電流の概算>

 系統図を見て、大きな電力を消費しそうな機器をピックアップしましょう。大きな電力を使用する機器とはセンサ・計測器・スイッチ類を除いた物です。だいたい下記になるでしょうか。

  ・BLW1  電動送風機  U2S-370      4.5[kW]
  ・Heater1  空気ヒーター SAS-330      30[kW]
  ・Chiller1 空冷チラー  RKS1500F     1.5[kW]
  ・Pump1  冷却水ポンプ 50X40FSS2E61.5B  1.5[kW]
  ・Pump2  噴霧ポンプ  PW-60R-VTCE-HWJ  0.2[kW]
  ・----  ベビコン   1.5OU-9.5CG    1.5[kW]

 これらの機器のカタログ・仕様書・取扱説明書を確認して必要な定格電流を確認しましょう。ちなみに電源は発電機から取得し、電源電圧は400[V]とします。

 BLW1は5.5[kW]のインバータ三菱電機FR-A840-5.5K-GF-1で駆動します。すべてのインバータにオプションのDCリアクトルを設置しますので、定格入力電流は取扱説明書(基本編)の23ページの表から12[A](ND設定)です。また、取扱説明書(詳細編)の26ページの表から入力側のNFBは20A容量のもの、27ページの表からMCはS-T12になります。NFBはNF63-CVF 3P 50AF/20Aにします。

 Heater1のSAS-330は30[kW]の三相空気ヒーターになります。30[kW]-400[V]でデルタ結線の場合は線電流は43.3[A]になります。30[A]を超えると取扱が面倒になるので、ヒーターを3系統に分けることにし、設計を変更します。

 Heater1,2,3とし、SAS-310を3台、並列に設置することにします。これで線電流は1台あたり14.5[A]になります。3台に分けたことで、電力制御が必要なヒーターは1台だけとなり、残りはON/OFFで対応できます。

 電力制御が必要なヒーター用に20[A]以上の容量のサイリスタレギュレータを選定します。余裕を見てチノーJW40030NA116(400V,30A,位相制御,FBナシ)とします。ON/OFF制御が必要なヒーターは35AのSSRを選定します。SSRはオムロンG3PE-535B-3Nとします。いずれもMCはS-T25とし、NFBはNF63-CVF 3P 50AF/20Aにします。

 Chiller1のRKS1500Fは1.5kWの空冷チラーで、カタログより定格電流は7[A]でNFBには15[A]が要求されています。こちらは400Vの設定はなく200V電源になるので、400Vから200Vに降圧するトランスが必要になります。トランスは東洋技研の三相複巻トランスで容量が3kVAのTRP3K-42Yを選定します。NFBはNF63-CVF 3P 50AF/10Aとし、MCはS-T12とします。

 Pump1の50X40FSS2E61.5Bは1.5[kW]のモーター駆動で、これもインバータ駆動とします。採用するインバータは三菱電機FR-A840-1.5K-GF-1とします。前述と同じ資料から定格入力電流は4[A]となり、NFBはNF63-CVF 3P 30AF/10Aとし、MCはS-T12になります。

 Pump2はパルス信号入力に比例してポンプが動作し、電力も小さいため、単相入力であること以外は特に考慮することはありません。こちらも200Vの設定しかないので、降圧トランスが必要です。トランスは東洋技研のTRH200-41Sで、NFBはNF63-CVF 2P 50AF/5A、MCはS-T10になります。

 ベビコン1.5OU-9.5CGは1.5kW用の自動アンローダ式無給油レシプロコンプレッサの本体です。これに400Vの誘導モーターを組み合わせてインバータで駆動することにします。インバータはこれも三菱電機FR-A840-1.5K-GF-1とします。これも定格入力電流は4[A]で、NFBはNF63-CVF 50AF/10A、MCはS-T12になります。

 また、これら以外に制御用の電源が必要になりますが、この規模では2kVAを超えることはないので、制御用のNFBはNF63-CVF 2P 50AF/5Aとします。

メインの漏電遮断器の容量は各NFBの合計で決まります。20[A]+20[A]+20[A]+20[A]+10[A]+10[A]+5[A]+10[A]+5[A]で合計120[A]になり、漏電遮断器はNV125-CVF 3P 125AF/125Aとなります。


<アナログ入出力ch数の概算>

 アナログ入出力のch数をカウントしてコントローラ側に必要なユニット数を確認します。温度センサ(測温抵抗体)は専用の入力が必要になります。

  ・アナログ入力 :PE1,AHE1(1),AHE1(2),CntV1(OUT),
           CntV2(OUT),AHE2(1),AHE2(2),CntV3(OUT),
           CntV4(OUT),AHE3(1),AHE3(2),AHE4(1),
           AHE4(2),PE2,FM2,PE3
  ・測温抵抗体入力:TE1,TE2,Heater1,Heater2,
           Heater3,TE3,TE4,TE5,TE6,
           TE6
  ・アナログ出力 :CntV1(IN),CntV2(IN),CntV3(IN),CntV4(IN)

 アナログ入力はすべて4-20mA電流ループ信号は16chになります。測温抵抗体は10ch、アナログ出力は4chになります。三菱電機iQ-Rのアナログ入出力は1ユニット8chになります。


<ON/OFF入出力ch数の概算>

 ON/OFFで使用するch数をカウントします。

  ・スイッチ入力  :PnV1(OUT1),PnV1(OUT2),LS1,LS2,
  ・リレー出力   :Chiller1,
  ・トランジスタ出力:Pump2,PnV1(IN)



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今回はここまでになります。次からは各機器の端子や電線の接続まわりを確認していきます。




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2020年03月15日

芋の煮っころがし装置の検討(その1)

汁なし芋煮とはつまり芋の煮っころがしでは?、とのリプをいただいたので、河原で使う小型の「芋の煮っころがしマシーン」を設計してみようと思います。

運搬がしやすいように鍋の直径は2000[mm]とします。道路交通法といすずのエルフが設計を決めるのです。

芋の量は1200[kg]程度(冷凍さといも400gを3000袋分)として、マージンとして500[kg]を見て1700[kg]程度を設計値とします。これで参加者が増えても安心ですね。

さといもの密度は1100[kg/m3]とします。これは1070[kg/m3]の選別液で沈んだものを良品とするさといも選別方法を考慮したものです。

芋の量と密度そして鍋の直径から芋の高さを500[mm]として考えます。鍋のへり高さは800[mm]ぐらいを見ておきましょう。

次に回転動力を考えます。

外周の周速度の70[%]を煮っころがしの基準速度に合うようにします。20[cm]の雪平鍋で煮っころがしを作るときには5[sec]で鍋を一周させるぐらいがいいように思いますので、基準速度を0.1256[m/s]とします。そこから外周での周速度は0.174[m/s]と決まります。

周速度0.174[m/s]と直径2000[mm]から角速度は0.1794[rad/s]です。回転数に直すと1.731[rpm]ですね。

回転動力は減速機付きかご型誘導電動機(ギヤードモータ)を想定します。インバータ駆動で消費電力を抑えつつ回転速度が調節できるようにしましょう。

鍋の回転軸まわりの芋の慣性モーメントは芋の高さ500[mm]、芋の直径2000[mm]、芋の密度1100[kg/m3]から6911.5[kg・m2]になります。

定格の角速度1.731[rpm]までは50[sec]ほどかけて到達させるとして、必要な角加速度は0.0036[rad/s^2]になります。

定格の角速度まで到達するのに必要なトルクは鍋の回転軸まわりの芋の慣性モーメント6911.5[kg・m2]と角加速度0.0036[rad/s^2]から24.8024[N・m]となります。

次に芋を煮っころがすために必要なトルクを見てみましょう。さといも同士の回転運動や並進運動に抵抗する摩擦を考えると、芋の煮っころがし操作は高粘度流体の撹拌に近いと考えられます。ここから、撹拌を停止して2[sec]程度で、さといもの持つ角運動量はさといも同士の摩擦で失われると想定します。

これより、煮っころがし操作トルクは慣性モーメント6911.5[kg・m2]と角速度0.1794[rad/s]と停止までの減速時間2[sec]から619.96[N・m]となります。

煮っころがし操作トルクと角加速トルクをあわせると619.96+24.8024=644.76[N・m]で約650[N・m]のトルクが要求されます。

必要トルク650[N・m]で回転数1.731[rpm]に適合するギヤードモータを選定します。クズさんは三菱電機の手先なので、GM-DPシリーズから選定しましょう。要求に適合するのは0.75[kW]の減速比1/900のものになります。

主軸径はギヤードモータが60[mm]なのでこれに合わせます。軸継手は鍋屋バイテックのフランジ形軸継手FCL-250を選定します。キー溝付き軸穴加工サービスが便利ですよね。

食品に接触する可能性のある上部はSUS304製となるので、念のため、せん断応力を確認しておきましょう。軸径60[mm]でトルクが650[N・m]なので発生するせん断応力は7.67[MPa]です。SUS304の0.2%耐力は205[MPa]で、せん断のみの場合はこの1/4程度まで耐えられるので、7.67<(205/4)で十分に安全ですね。

次に軸貫通部のシールを考えていきましょう。軸の周速度は、角速度0.1794[rad/s]と軸径60[mm]より、0.0108[m/s]ときわめて遅く、また、内容液が軸を貫通しても大きな問題とならないため、シールはグランドパッキンによるものとします。

グランドパッキン材質は食品衛生法等の基準適合を考慮し、バルカーNo.7232を採用します。パッキン幅はメーカーの選定表より軸径60[mm]に対応する14.5[mm]とします。パッキン段数は6段として、2段毎にPTFE製のスペーサーリングを挿入します。軸自体の温度はあがらない想定のため、スタッフィングボックスの冷却や注水はおこないません。

軸受はグランドパッキン下部にTHK製クロスローラーリングRU178Gを設置します。軸にフランジを取り付けて、それをクロスローラーリングにかませる形になります。軸とフランジの締結はシュパンリング等の摩擦式締結具を使います。

さて、ここまでの構成を図にまとめておきましょう。



ここから考えないといけないのは

 ・加熱方式(底面にカートリッジヒータ取付)
 ・撹拌羽根の方式(どうすればさといもをすりつぶさずうまく煮っころがせるか)

になります。

このあたりは次回以降で考えていきたいと思います。


posted by kirikuzudo at 11:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記