2015年11月30日

極低比速度のポンプについて検討をはじめました

方向性をまだきちんと絞れていないものの、このあたりの数字をいじっていけばなんとかなるんじゃないかな、的なところを思いついたので、ちょっとした文章にしてみました。

極低比速度単段オープン羽根遠心ポンプの検討(PDF,283kB)
http://www.kirikuzudo.jp/file_ex/low-specific-speed-pump_20151129.pdf

実際にいくつか設計して加工して試験をして、この方向でいけるかどうかを確認していこうと思っています。
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2015年11月15日

製品は工程に由来する、製品は工程に依存する

 新型基幹ロケットの現段階での概要が半年ほど前に発表された。

 それなりに優秀でチャージも高い人間が多数あつまって決定された内容にしては従来の踏襲という内容で非常に残念な感じが漂う。貧乏が悪いと言えばそれまでだが、どうしてこうなったかを考えたときに、やはり「製品は工程に由来する」という部分は決して小さくない。

 今回の案ではほとんどの設備を流用し、新設されるのは種子島の移動発射台(ML)だけである。VABは改修。老朽化が進む推進剤貯蔵関連設備は現状維持。射点は改修。この予算では飛島工場でもほとんど改修で新しい建屋などは新設できないだろう。工程がかわらないのであれば、最終製品が変わることなどできやしない。

 なぜか。飛島工場はとりあえずおいて、種子島の部分だけを見てみよう。

 港で陸揚げされたロケット部分アセンブリを収納したコンテナはそのままトレーラーにのせられて港から射場まで運ばれる。VABの中でコンテナからクレーンでロケット部分アセンブリは吊り上げられ、縦に積み上げる形で組立整備されていく。

 この部分でまずコンテナのサイズ、トレーラーのサイズ、トレーラーが通る車道のサイズ、建物の開口サイズと建物の天井高さ、組立整備空間の平面面積、クレーンの揚程という問題が出る。ロケットの全高はクレーンの揚程より小さくせざるおえない。当然、クレーンの揚程は建物の天井高に依存する。そして、全高を分割する数はロケットの構成上あまり増やせないので、部分アセンブリ自体の高さも相応のサイズになるが、これもトレーラーの長さの制約を受ける。

 またロケットの直径は組立整備空間のフロア平面面積に制約をうけるし、コンテナの内寸とトレーラーの全幅、ひいては車道の幅にも制約をうける。現状ですら、職人芸でせまい車道をうねうねと移動しているのに、だ。

 VABの中で組立整備が完了し射点まで機体移動する。移動発射台は機体にあわせて新設されるので最適なものができるだろう。だが、VABの扉のサイズは決まっている。ここでもサイズの制約をうける。射点についても改修することになっているが、現在H−IIBを使用している射点をベースとする以上、その内容に縛られることにはかわりはない。

 こういったことを一般化してしまうのはまずいとは思うが、こと、基幹ロケットに関しては、工程の制限をあまりに軽視しているのではないかという話になる。予算を決める人間は「物を買う」感覚しかなく「物を運用する」感覚に欠けているのではないかと思いたくなる。

 ロケット部分アセンブリは確かに工場で作られる工業製品だが、最終製品である「軌道輸送」は運用がなされてはじめて完成する。つまり種子島で離床するまでのすべての作業はロケットを構成するための工程である。それを考慮せずに新型だと言っても内実はなにもかわらないものになるのは仕方ないのではないだろうか。

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ロケットの性能に直結するコンポーネントというものはあるのか

 下町ロケット、というドラマが原作準拠ではじまった。バルブがロケットの性能を直接左右することなど現代のロケットでは考えられないのだが、もしあるとすればバルブの信頼性が低くて指示通りの開度が出ていないという、バルブの信頼性が著しく低い世界線での話なのかな、という解釈をしてみた。そして、それをTwitterで開陳したところ、かがわさんに「そんな記述ないですよね」とばっさり斬られてしまったわけだが、まあ、解釈遊びなんで、実際のところ、かがわさんの言う「バルブという名の抽象概念」が正解であるとは思う。

 さて、そこから話は続いて、「ロケットの性能に直結するコンポーネントというものはあるのか」という話題になっていたようだ。私はひさしぶりの溶接作業の疲れで寝てしまったのだけれど、これは確かにロケットシステムについての理解度を試される問いである。

 当然、ロケットシステムにおいて、欠けてよいコンポーネント、性能に寄与しないコンポーネントなどはないわけだが、どちらかというと、どれもが十全に機能を発揮して、はじめて安全で望み通りなロケットの飛翔が成り立つということを考えると、たしかに「ロケットの性能に直結するコンポーネント」という話題はバカバカしいのかもしれない。

 しかしながら、やはり「多少あやしくてもなんとかなる」部品というのはあって、そこで基準を落とせるかどうかが設計検討試験の積み上げ、ひいては技術力の差となるのだと思う。実際、「えっ、これでいいの」となる米露のロケットコンポーネントは多い。

 一方、ロケットの性能に直結する、という題でいけば、ロケットエンジン、なかでもインジェクタと燃焼室とノズルまわりの設計は、ロケットの性能指標である有効排気速度および推力重量比に決定的な違いをもたらす。

 特に推力重量比をあげようと思うと、短い燃焼室で推進剤の持つ燃焼熱を排気のエンタルピに転化しなければならず、そのため、インジェクタでの推進剤微粒化と酸化剤・燃料の混合から燃焼をどれだけ短い距離で実現できるか、という話になる。それは燃焼室およびノズルスロートの冷却系とも関連し、エンジン熱交換システムにおける最適流量などにも影響が出てくる。ひいては、質量流量は機体の飛翔設計・タンク設計・配管設計にも影響を与える。

 インジェクタにも多数の形式があり、基幹ロケットは同軸せん断型、ISTやSpaceXはピントル型、角田のエタノール・液体酸素試験機は二点衝突型である。インジェクタの形式とそれによる燃焼室長さの変化はあまり調べたことがないのだが、インジェクタの設計次第で燃焼室の長さの制約を変えられるのは間違いないだろう。

 実のところ、ロケットシステムから見ると、ロケットエンジンのインジェクタと燃焼室とノズルまわりとは、ひとつのコンポーネントとして見られてしまうので、どちらかというと「ロケットエンジンはロケットの性能に直結するコンポーネントである」という言及のほうが正確なのかもしれない。

 そのなかで、「ロケットエンジンの性能に直結するサブコンポーネントはなにか」という問いがあれば、インジェクタはそのひとつであると答えられると思う。
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ごちうさは優れた接待アニメなのか?

<1. What is Go-Chi-U-Sa ?>

『ご注文はうさぎですか?』というアニメがある。
知ってる人には「ごちうさは福祉」「こころぴょんぴょん」で済むので何の説明もいらない。
そうでない人も公式サイトを見れば「ああ」とすぐ理解いただけるのではないだろうか。

「ご注文はうさぎですか?」アニメ公式サイト
http://www.gochiusa.com/

アニメの分類は複雑化しており、まさにコンテンツのカンブリア大爆発な現在、不用意な分類はネット紛争や炎上につながるのだが、大枠で言えば「芳文社まんがタイムきらら系列日常系萌えアニメ枠」というところで共通の理解を得られるのではないかと思う。

中身であるが、ストーリーとか内容とか何もなく、ひたすら「かわいい」が24分にわたって画面上に展開されるだけで、ニコニコ動画のコメントも「かわいい」がやたら多いのが特徴だ。その内容のなさと画面にあふれる「かわいい」が仕事に疲れた社畜のみなさんの心をいやしている。まさに「ごちうさは福祉」である。

また、ごちうさは実のところライト層向けでもある。「かわいい」に全パラメータを振ったともいえるごちうさだが、キャラ付けもある程度はっきりしているので視聴者間での紛争も少ない。というか、紛争するほど内容がない。ひたすらみんな「こころぴょんぴょん」してるだけである。かわいいは正義なのだ。


<2. 接待アニメ #とは>

さて。接待アニメという言葉はご存じだろうか。

おそらく初出とされている中でも有名なのは横田氏のこのブログだろう。(他に初出があるのかもだが寡聞にして知らないので知っていたら教えてください)

「ITインフラ業界にとっての深夜アニメは「接待ゴルフ」のようなものなのか?」
https://wslash.com/?p=4654

たしかに2010〜2013年のIT系勉強会やスライドで深夜アニメネタが出る率は異常だった。最近はよく知らないのだけど、まあ、ある程度は残ってるんじゃないかと思う。

  ※ちなみに自分がネット中継を見ていていちばん衝撃をうけたのは2011年1月の「あずにゃんぺろぺろ」だった。あれを超える勉強会アニメネタはいまのところ知らない。(HTML5を使うとiPhoneの画面に表示したキャラをぺろぺろすることでキャラが反応するUIをサクッと作れるよ、というネタ)

で、この接待アニメというのは普通の接待とはちょっと意味が違って、上述のリンク先に書いてあるように、前期および今期の流行っている深夜アニメのネタについていけるようにそういう深夜アニメを見ておくとコミュ障の技術屋さんたちも話題に困らないよ、というお話なのである。勉強会の後の懇親会などでも深夜アニメネタを使った発表者と話をしやすくなるし、よいアイスブレイクになる。


<3. 接待アニメとしての「ごちうさ」>

さて、ようやく表題である。
「ご注文はうさぎですか?」は接待アニメとして優れているのだろうか。

20代30代の技術屋さんで勉強会に出てくるような人はだいたい社畜だと思っていい。そうでなくても勉強熱心で真面目なのは間違いない。そして、真面目な人ほど疲れやすいのが現代社会である。そこには癒しが必要だ。にゃんこカフェとかそういう癒しもあるが、いちばん手っ取りばやいのは日常系萌えアニメである。アニメ配信サイトを開くか録画再生して約30分のお手軽な癒しである。

中でも芳文社まんがタイムきらら枠は癒しを得られる日常系萌えアニメの定番である。ときどきハズレもあるけれど、基本的には毎期、間違いのないものを確保できる。公式Webサイトのアニメ化作品リストを見ると、鉄壁のラインナップがうかがえる。

「まんがタイムきららWeb」
http://www.dokidokivisual.com/

 ※「けいおん」「かなめも」「GA」「Aチャンネル」「キルミーベイベー」「ひだまりスケッチ」「ゆゆ式」「きんいろモザイク」「幸腹グラフィティ」「城下町のダンデライオン」そして「ごちうさ」

 ※抜き出してみて震えている。これがぜんぶ芳文社まんがタイムきららグループ発のアニメだとは……

ゆえに20代30代の技術屋さんで深夜アニメを見る人は8割方、きらら枠を見ていると考えて間違いない。カバー率が高いのだ。ネタに使う以上、カバー率の高さは重要である。

そして2期が放映されているというのは「けいおん」「ひだまりスケッチ」「きんいろモザイク」に並ぶ覇権コンテンツということでもある。そして覇権コンテンツのネタは息が長い。「きんいろモザイク」の進捗コラージュや「ひだまりスケッチ」の1話ゆのっちコラージュなどはずいぶんと長いこと使われている。ごちうさであれば「お兄ちゃんのねぼすけ」や「もっと笑ったらお客さん来てくれる……?」あたりの画像は使い勝手がいいかもしれない。

しかし、ごちうさも優れた点ばかりではない。ネタの少なさは大きな欠点のひとつだろう。パラメータを「かわいい」に極振りして中身が薄いためにネタがないのだ。こればかりは如何ともしがたい。(きらら枠はプレゼン中のネタに使いにくいものが多いというのは傾向としてある)

とはいうものの、プレゼンに使うだけが接待アニメではない。ごちうさのアイスブレイカー性能の高さ、特にその汎用性は認識するべきだろう。「チノちゃんかわいい」「ココアかわいい」「シャロかわいい」「チマメ隊かわいい」というのが基本的な発言である。あとはお気に入りのシーンをお互いにあげていけば5分はあっという間である。ここで深夜アニメ視聴者の8割というシェアの高さが効いてくる。ここから各キャラ担当の声優さんつながりで話を広げてもいい。


<4. 接待アニメ枠としての「芳文社まんがタイムきらら枠」>

こうしてみると、やはり「芳文社まんがタイムきらら枠の覇権コンテンツ」というのは接待アニメとしては欠かせないコンテンツなのだということがわかる。

さて、ごちうさの次は「今日も一日がんばるぞい!」で有名になった「NEW GAME!」である。内容的に2期までいくのは厳しいかもしれないが、安定のきらら枠として、さらに主人公が社畜という点での豊富なネタ源として、こころぴょんぴょんしている。
posted by kirikuzudo at 01:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記