2011年10月07日

商品の値段、値段の情報、情報の値段

ちょっくら、商品の値段の情報の値段、っていうものを考えてみようかな、と思いました。
Twitterで @kairoshiさんが以下のようなことを書いていたのが、その理由です。

 kairoshi: 問い合わせないと価格がわからないってシステムいい加減めんどくさい。
      せめてこれくらいの価格ですとか書いてよ。
      価格表示したほうが消費者の手間が省けて商売繁盛ってとこだろ常考。

昔、現在の仕事をはじめる前までは僕も同じようなことを考えていました。
いや、はじめてからもしばらくは同じようなことを考えていたかな。

実際、ここ2年くらいですね。意見が変わり始めたのは。

商品の値段の情報、について。

商品の値段の情報、それ自体にも値段がつけられる価値がある、
ということに気がついたわけです。

これを理解するためには、
商品の値段というのがどうやって決められるかを考えなければいけないと思います。

商取引というのは基本的に相対取引なので、
実際には決まった値段があるわけではありません。
(共産主義・社会主義の世界のことは忘れてくださいね)

売り手と買い手が交渉して値段が決まり、
似たような商品の値段が相互に影響しあって、世の中の値段の相場というものが、
決まっていきます。

売り手は仕入や原価に利益を上乗せしますし、できるかぎり利益を増やしたい。
買い手は値段以上の価値を感じれば買うが、できるだけ安く買いたい。

優秀な売り手は買い手が感じる価値ぎりぎりの値段で商品を売り、
利益を最大化します。

優秀な買い手は売り手の利益をギリギリのラインで抑えて、
自分の感じる価値を最小限の対価で得ようとします。

この均衡、そして類似商品との価格競争による結果が、相場を形成します。

価格が公開されていない特定の商材について、
業界内で価格にある程度の合意があるのもこの相場の形成作用によります。

もちろん、個々のやりとりはときには平均値から大きく乖離することもあります。
売り手と買い手の関係にもいろいろありますし、情報量にも差があります。

ここがポイントで、売り手と買い手で情報量に差のある非対称な条件ができあがると、
そこに相場からずれた価格が設定される機会が生まれます。

また、こういった価格の情報が少ない商品については、
相場がなかなか形成されません。

いわゆる市場が形成される以前の状態です。

現代社会でそんなことあるわけないだろう、といわれるかもしれませんが、
市場の成立にはある程度の価格情報の量が必要になります。

定価設定のない世界で、さらに一品ものやオーダーで少量となると、
値段がない世界という話になります。「時価」ってやつですね。
こういう世界では営業さんが豪腕をふるえたりするわけです。

逆に広く普及している商品で、売り場も多かったりすると、
それこそ誰でも商品の値段を知っているわけです。

この両極端な2つの世界では、価格の情報の価値には大きな差があるのです。

ステンレスのM6ネジの値段はGoogle先生に聞けばすぐわかりますし、
ホームセンターに行ってもすぐ見つけることができます。

しかし、たとえば工作機械用の数値制御装置の値段を知りたいとなると、
結構、やっかいなことになります。
もちろん、その筋の営業さんなら各グレードのお値段なんかは把握していますが、
買う気のない素人さんには値段を教えてくれませんし、
教えてくれても、かなりふっかけた値段でしょう。

ここにその値段の情報を商品にする人たちが生きていく余地ができます。
つまり商社の営業さんですね。
買い手の求める価値の対価と売り手の求める利益の合間から、
値段の情報というツールでもって、利益を抽出するお仕事です。

しかしながら、インターネットとWeb技術の隆盛によって、ここ5年で、
ジリジリと値段の情報は価値を下げていってしましました。
ミスミやモノタロウではシステムに価格情報が蓄積されています。
ある程度の複雑さのものまではシステムに価格情報をまかせることができるので、
こういったコンポーネントを扱っている商社さんは辛いところだと思います。

行く末はどうなるかわかりませんが、ミスミ的な展開は今後も、
ある程度までは進行すると思います。だって、便利ですから。
このあたりは @kairoshiさんの言うとおりだと思います。
ただ、決済や商取引の習慣などの制約もありますから、
ある程度の複雑さの商材までしか進行しないともいえますね。

商品には値段があって、その値段の情報にも価値があり、
その価値から利益を抽出している人たちがわりと多いってことは、
開発や設計や製造をしている理工系の人たちは忘れがちですが、
これは覚えておいてもいいことじゃないかと思います。

実はこの「商品の値段の情報の価値」というあたり、
経済学や金融工学関連ではきちんと定式化されているという話を聞いたりするので、
上記の話は与太話ぐらいに思ってもらえるといいと思います。
posted by kirikuzudo at 01:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記

2011年10月02日

メカトロテックジャパン2011に行ってきたよ!

9月29日〜10月2日にポートメッセなごやで開催されている、
メカトロテックジャパン2011に行ってきました。

お客さんが僕の作ったモノを使って展示しているというので、
それをチラッとのぞきにいくついでに定点観測的に。

今回、個別に気になったのは以下の2社ですね。

 <KOSMEK>
 油圧や空圧でクランプする治具コンポーネントを製作している会社で、
 本社は神戸みたいです。ハイパワーエアリンククランプ。
 バネを使った倍力機構とクランプロック機構が内蔵されてるっぽいですね。
 もうちょっと早く知ってたら、苦労することもなかったのに。。。

 <FNS>
 CNC DESKTOP MACHINING CENTER BM532T-ATC という、
 1m角におさまるマシニングセンタがあったので、これいいなー、と。
 500万円くらいと、値段がネックですが、
 SKD11みたいな金型材も削れるということで、
 省スペースで難削材をガンガン試作切削できるといいですよね。

他は従来通りというか、
まあ工作機械や刃物の細かいスペックとかよくわからないんで、
素人目には大きな変化があるようには見えませんでした、という。

あんまり大きな変化が見られないのが良いことなのか悪いことなのかわかりませんが、
とりあえず目新しいものはあんまりなかったような気がします。
僕がそういうものを見逃すようになってきたというだけかもしれませんが。

そうそう。
あと、やっぱりコンポーネントを作らないとダメだなあ、というのが感想ですね。

アセンブリ「だけ」じゃ、ご飯は食べていけないですよ、うん。
posted by kirikuzudo at 07:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記