2016年10月15日

JA2016に行ってきました(その2)

JA2016に行ってきました(その2)

15日にも行ったのですが、寝坊して着いたのは14時。撤収作業の前にまわれたのは多摩川エアロシステムズ(株)さんと島津製作所さんだけだったのでほとんど感想文みたいになります。

全体的に感じたのは装備品や中間アセンブリを供給する層の薄さでした。

おおまかに分類すると、

・プライム(ボーイング、LM、三菱、川崎、日飛など)
・Tierー1サプライヤ(住友精密、三菱、川崎、日飛など)
・航空系総合商社
・防衛系総合商社
・自衛隊
・各国の大使館や産業団体、軍など
・国内各自治体のクラスター
・単独の加工業者/装置メーカー

という具合にわけられると思いますが、Tier−1サプライヤからプライムをのぞくとこんなに日本には装備品メーカーが少ないのか、と感じてしまいます。もちろん出展していないメーカーも多いとは思いますが、それにしても東京で「国際航空宇宙展」と銘打っている展示会に出てくる装備品メーカーはこれだけしかないのか、というのはちょっと驚きでした。

結局のところ、日本ではインテグレーターであるプライム企業が産業構造の上位部分をほとんど内部でこなしてしまうのと、重要な装備品のほとんどは海外の装備品メーカーからのお買い物になってしまうため、こういう状態になるのだと思います。

ただし、ボーイングの旅客機部品製造分担を見てもわかるように、国際的に分散した調達体制が当たり前という世の中なので、それが悪いという話ではありませんし、国の違いというのはそれほど目くじらをたてる部分ではないのかもしれません。

とはいうものの、航空宇宙産業をおしすすめるという話を各自治体が看板にかかげているわけですから、各自治体クラスターの展示がほとんど加工品の展示、加工技術のアピールで占められているという現状は一考の余地があると思います。

加工技術はある、しかし、なぜそれが装備品メーカーという上流にのぼることができないか。これはつまるところ、「設計と設計の検証をする能力」の有無に帰結すると思います。

自分たちのした設計が要求されている仕様(I/Fとなる仕様)に適合していることを証明する、というのはそれなりに難しくノウハウも必要となる仕事です。一般的には、これは技術試験によって証明することになりますが、試験というのはJAXAですら一部門を抱えるような分野です。

この技術試験というのが加工技術を持つメーカーが装備品メーカーとなるためのひとつの壁になっているのではないかと思います。

また、世の中には既に競合となる装備品メーカーがあるわけですから、その実績と勝負しなければなりません。インテグレーターの気持ちになれば、自分の作る機体には実績のある部品や装備品を搭載したいわけですし、そうなると相当なコストメリットや安定した供給能力、または機体にあわせた特殊仕様で開発するなどの柔軟な対応を提示できなければ勝負になりません。これも加工技術を持つメーカーが装備品メーカーとなるにあたっての大きな壁だと思います。

MRJのような民間機のインテグレーションが国内で行われていても、部品はともかく、装備品を国内で調達したというようなニュースはほとんど耳にしませんし、国産旅客機と銘打っている機体ですらそうなっているわけです。MRJがビジネスとして成立したと仮定した場合、そこから派生型が設計されていくなかで、装備品メーカーを国内でも育成しようという流れが生まれれば、相応の資源投下を行おうと考えるメーカーはあると思いますが、それがなければ航空宇宙産業でも日本の企業は他国の装備品メーカーの加工下請で低い利益率に甘んじなければならないということになるでしょう。

もうひとつの突破点としては、自分たちがインテグレーターとなる、という選択です。インターステラテクノロジズやHASTICのようなロケットベンチャー事業体は完全にインテグレーターですし、航空機でもそういったインテグレーターとなる企業があれば、それを起点として装備品メーカーが育つ可能性があると思います。

旅客機などは難しいでしょうが、ゼネラルアビエーションや無人機の分野からであれば参入するための資源を持つ企業はあると思います。特に無人機については今回のJA2016でもいくつかの企業が完成品や要素技術を展示していましたので、それらを起点として装備品メーカーを育てていくという方針はそれほど悪くないのではないかと思います。

といったあたりがJA2016の感想でした。
posted by kirikuzudo at 22:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 雑記